山崎バイオマスエネルギー回収センター建設に代わる市長の「代替案」は、現在焼却している4万トンのうち、今泉焼却施設を平成27年度に停止し、焼却量1万トン以上を家庭や事業者の分別や自己処理等で減らす案です。
家庭系生ごみ処理機は過大な普及削減目標
そのうち、生ごみ処理機の普及促進により、平成27年度までに家庭系の生ごみをさらに1,800トン削減する内容になっています。
鎌倉市では20年間生ごみ処理機の普及に取り組んでおり、年間約2,000トン処理量と推計されています。
同時に、市の調査では購入しても使用をやめる世帯が約25%にのぼっており、実際、「負担が大きい」「虫が湧くなど、うまく処理できない」などの理由で中止する人もいます。
「代替案」の考え方は、すでに普及している処理機の100%利用を前提にしていることからも、今後5年間で新たに1,800トン生ごみを家庭で処理してもらうのは過大な削減目標であり、現実的ではありません。
事業系のごみ削減には当事者の理解が不可欠
一方、事業系のごみ削減については、取り組みの強化が必要ですが、事業者の理解を得ながら進める必要があり、5年間で取り組むのは乱暴だと思います。
内容的にも、分別の徹底による削減は、名越クリーンセンターにベルト・コンベアー1台を導入する予定ですが、それだけで2,700トンの削減ができるという根拠が全く分かりません。
事業系の生ごみ処理は中継施設の確保が必要
次に、飲食店など中小規模事業所等に生ごみを分別してもらい、市外の業者に委託して資源化を促進することについては、分別した生ごみを許可業者が集め、そこから中継施設に集約する必要があります。
「代替案」で最大量の4,370トンもの生ごみ中継施設を、5年間でどこにつくるのか、これだけでも大変な問題です。都市計画決定の手続きも必要であり、最終年度に開始としているのは市自ら無謀な内容であることを認めているようなものです。
市長は「確実に削減」しかし、担保は「ない」
市長は昨年11月末の議会全員協議会で、5年後に「確実に削減できる」と確信していると答弁しましたが、本当に5年間で確実に処理できるのか、その後も安定的に処理できるのか、「その担保がどこにもない」というのが実態です。今回の「代替案」は、今泉焼却施設の廃止に伴うものであり、「頑張ったけれど、ここまでしかできませんでした」では済まないのです。
廃棄物は確実かつ安定的に処理するのが責任
各家庭への啓発を強め、事業系ごみの削減に力をいれることは大切ですが、市民や事業者に努力を求めるだけで確実に安定処理させようとすることは市の責任放棄につながる誤りです。
現時点で、行政計画でも何でもない以上、1つ1つの施策の課題と実効性について十分な検討が必要です。
ごみ行政は、市民の公衆衛生に関わる問題だけに、責任ある処理をしなければなりません。現行計画である生ごみ資源化施設を稼働させ、そのうえで更なる減量化を図るのが現実的ではないでしょうか。