「お風呂屋さんというのはね、成り立たないのに補助を出しているのは、おかしいですよね。コンビニもそうですけど、やっていけないっていったらお店閉めるじゃないですか。(中略)時代にそぐわないで消えていくんだったら、そこに補助金を出して支えていくのは少しおかしいと思います」
7月10日行われた松尾市長の目玉事業の一つ、「事業仕分け」。公衆浴場関係の事業仕分けで、ある仕分け人がこんな意見を述べました。
鎌倉市政になじまぬ「事業仕分け」、教育・福祉のサービスを「不要」
結局、「高齢者入浴助成券事業」「デイ銭湯事業」は「不要」とされました。これに対して、それからわずか一ヶ月足らずで事業の存続を願う1万数千人の署名と意見書が松尾市長に届けられ、「少ない年金で、風呂のないアパート暮らしにとって助成券は命綱です。」など切実な声が寄せられました。
市議会にも同趣旨の陳情が提出され、9月24日の市議会本会議で、大多数の賛成で採択しました。「事業仕分け」の結果に、市議会が「ノー」の答えを出したことで、今後市長がどう判断するか問われています。
削減・縮小ありきの「事業仕分け」
事業仕分けには30事業33項目が対象にされました。大部分が市民生活に直結したもので、中でも健康福祉・教育関連が18項目あり、そのうち7項目が「不要」、9項目が「要改善」とされました。
浴場関係事業の他、夜間の学校警備のアラーム業務委託も「不要」、小児医療費助成は「要改善」とし、所得制限をつけるなど見直せとしているのです。
今回の事業仕分けは、一事業の審議が僅か30分、一班6人中「構造改革」を推進する民間シンクタンクの「構想日本」のメンバーが4人も占め、しかも、関係者の意見の反映もないまま、「要」・「不要」などと判定する乱暴な手法は、市民合意を図りつつ、市政をすすめる市民自治の土台を足元から突き崩すことになりかねません。
市民にとって大切な事業は継続・充実を
党議員団は、決算等審査特別委員会で、「不要」「要改善」などとされた事業を取り上げ、意義や目的、成果、実績などについて改めて質しました。この中で、担当者からは、仕分けの結果「不要」とされたものでも、「重要な事業で継続して実施していきたい」との答えがいくつもありました。
党議員団は、仕分け対象事業の選定のあり方をはじめ、「削減・縮小ありき」の乱暴な手法を厳しく批判するとともに、市民の運動や要望で実現した事業や有益で市民から喜ばれている事業は継続し、さらに充実を図るよう強く要望しました。
「市民ニュース」2010年10月号より