このような人事異動は必ず自らに跳ね返る乱用そのもの
市長は山崎浄化センターバイオマスエネルギー回収施設の「見直し」について結論を3か月「先送り」しながら、9月22日に発表された、10月1日付人事異動では、ごみ処理施設計画の核となる部署である、担当次長と課長補佐を異動させてしまいました。通常、次長や課長といった幹部職員を年度内に異動させることは、不祥事や大きな政策決定などの「事件」がなければ有り得ないことで、市役所内には驚きの声が挙がりました。
そこで、議会としての立場から、9月24日の最終本会議で4会派・4人の議員が緊急質問を行い、「山崎浄化センターバイオマスエネルギー施設の見直す方針が決まっていないのに、バイオマス施設の担当者を移動させることは問題である」と市長に迫りました。共産党議員団は吉岡和江議員が緊急質問を行いました。
冒頭でも触れたように、人事は、行政計画と予算に基づく執行を行ううえで、人員配置を適正に行うため、通常、年度が変わる4月1日付けで行うことが基本です。年度途中での異動は補充的な性格のもので、幹部が途中で変わることは病気や不祥事があった場合など極めて異例なことです。
さらに、山崎浄化センターバイオマスエネルギー回収施設について、市長は自ら今年度予算を提案し、議会も議決し、行政計画の執行を行っています。山崎浄化センターバイオマスエネルギー回収施設建設を行い、生ごみを減量化したうえで、名越クリーンセンターの延命化を行うという前提条件からいっても、鎌倉市のごみ行政にとって重要な部署の中心職員の異動には何の道理もありません。確かに人事権は市長にありますが、いまだ方針が決まらないなかで、このような人事異動は人事権の乱用ではないでしょうか。
「見直し」内容も「実態を全く無視」した驚愕の指示
さらに、緊急質問のなかで市長は、山崎浄化センターバイオマス回収施設の整備を見直す「代替案」の検討を(議会の決算特別委員会の最終審査日である)9月16日に初めて環境部長に指示したことが明らかになりました。
市長のバイオマス施設見直し指示書の見直し内容は
1.バイオマス回収施設に代わるごみ焼却削減策の検討
*「山崎浄化センターバイオマスセンターで生ごみ削減目標としていた 年間13000万トンを平成27年度を達成目標にする」
*3Rの各段階で検討 特に生ごみの減量化・資源化の方策の検討等
2.名越クリーンセンターの改修 最大限焼却できる方法の検討 (改修は一部改修に加え、全面改修も検討 日本環境衛生センター等専門機関の活用の検討
*検討結果はまず9月末を目途に第1次を、10月中旬に第2次報告を、10月下旬に最終報告を行うこと
*検討を進めるため、3か月の臨時組織を構成し、推進室を準備するとしています。
鎌倉市は長年にわたり、脱焼却・脱埋め立てを目指す「ゼロ・ウェイスト」に取り組み、行政の施策と市民の皆さんの日々の努力の結果で、平成16年から現在まで5年間、リサイクル率日本一になっています。
更に、燃えるごみを減らすためにはどうしたらよいか、鎌倉市にとってどういう施設が適切か、自区外処理で多額の経費を要した苦い経験から、この10年間、鎌倉市生活環境審議会など専門家や市民での議論・調査により、「燃やすごみの約40%を占める生ごみ」をバイオマス化することが「ゼロ・ウェイスト」に最も有効であるとした結論をだしたのです。
それを市長はたった1か月半という短い期間で、13000トンのごみを減らす「代替案」を作ろう(もしくは「今よりも」少なくする「案」で、残りは「一カ所の焼却施設」に集約しよう)としているのです。全く無謀としか言いようがありません。
しかも、指示内容には、「ゼロ・ウェイスト」に反する、「名越クリーンセンターでの全面改修(ピット、建屋、炉を含め全面建て替え)」という、地元の人たちが聞いたら大変な問題になる検討内容まで指示している有り様です。
今泉クリーンセンターは約束通り廃止する。山崎浄化センターバイオマスエネルギー回収施設で生ごみを資源化・減量化して燃やすごみを減らす。名越クリーンセンターは焼却量を減らして改修・長寿命化する。この三位一体の取り組みが、鎌倉市のごみ問題を解決するための絶対条件です。山崎浄化センター・バイオマスエネルギー回収施設をやめることは、結局、鎌倉市の燃えるごみを自区内で処理できず、自区外で処理する道につながる大変深刻な事態を招きかねない問題で、誰が市長でも責任ある対応をしなければならないのです。