鎌倉で最初となる近代建築物の保存建築による活用となる「放課後子どもひろばおなり・おなり子どもの家こばと」の開所式に参加しました。
神奈川県内に現存する最古の図書建築物が「旧町立図書館」、旧図書館です。この建物をどのように保存的な建築をして活用するかは、今後の鎌倉の文化的まちづくりにとって重要な問題であることから、私は一貫して取り組んできました。決して「市長のご英断」などということではなく、むしろ市長や当時の議会多数の誤りを市民とともに正して、鎌倉の文化財を適切に保存活用する道を切り開いたわけです。きちんと事実として残すため、以下の議事録を紹介したいと思います(ほんの一部です)。
※総務常任委員会(平成31年2月28日)報告事項の質疑より抜粋
<報告内容>
・(仮称)おなり子どもの家等耐震改修及び増築工事について
・鎌倉市旧図書館耐震診断業務委託報告書に関する調査委員会の調査結果について
○高野委員 …議会は(旧図書館関連)予算の削除のことだとかいろいろと経過はあって、個人的には残念に思っておりますけれども、なぜそうなったかと言いますと、さっき触れましたけれども、文化財の価値のところの議論がだいぶグラグラしたなという感じがしたんです。教育こどもみらい常任委員会においては、たしか保育課の担当者の方がお答えになられていましたかね。名前は言いませんけれども。私は総務常任委員会のときにも、ちゃんとしたそういう確認をされている根拠を示してくださいという話をしたと思うんですね。
そこで伺うんですが、この文書は今、予算特別委員会で資料請求を同僚議員がしていますので、そっちでまたやってもらったらと思って、私は詳しくはやりませんけれども、去年の8月28日に旧図書館の耐震改修及び増築工事についてということで、鎌倉市文化財専門委員の先生に、現地確認もしたうえで意見を求めていると思います。鎌倉市の文化財専門委員ですから、その方の意見がどうかというのが非常に重要なことですね。それが重要でなければ文化財専門委員という方の立場がどうなるかということになるわけですから。
そこで、いただいているこの旧図書館の現状において、建物の腐朽ということについては、どのような見解が示されているか教えてください。
○こども支援課担当課長 このときには、文化財専門委員の先生なんですけれども、文化財課と一緒に専門委員の先生に来ていただけるようなことも行いましたので、私からお答えさせていただきたいと思います。
そのときの文化財専門委員の見解としましては、腐朽している状態を確認していただいて、解体し、腐朽部材を交換しながら改築という方法は、そういうやり方は必要が認められず、建物の腐朽についても、土台以外の上部の部材はしっかりしているので、そのままで改修できるというような御意見をいただいています。
○高野委員 そのときは、公的不動産活用課の職員も一緒に調査に立ち会っているんですか。公的不動産活用課としても同様の明確な見解だということでいいですか。
○公的不動産活用課担当課長 公的不動産活用課の担当も、一緒に話は聞いております。
○高野委員 つまり専門的な見地から見て、正直私は素人ですよ。私も最初はあの状況を見て、いや、これはどうなのかなと思わなかったわけじゃないんですよ、実を言うと。しかし、私も専門家の方に法隆寺の歴史とかを随分聞きましたよ。法隆寺はぺしゃんこになって、そういう状態からも何度も建て直しているんだと。木材建築物というのはそういうものなのだと。ぺしゃんこから建て直しているんだと。(円覚寺)舎利殿もそうだというんですね。そこから建て直しているんです。ぺしゃんこになったから、はい、終わりとしていないと。そこからやっているんだということから考えれば、あれだけあれば、素人目で見るとどうかとは思ったんだけれども、実はそうではなくて、あれだけあれば十分なんだと言っているんです。
そこを専門的にきちんと担保する必要がある。ですから、建物の腐朽についてはつまり、感覚の問題ではなくて専門的にみたら、土台以外の上部の部材はしっかりしているということ。それが全体の1割程度ではないかということ。したがって、解体するというのは、この後、文化財的価値の話をしますが、歴史的建造物としての価値を認めるのであれば、専門的に見て、その必要は全くないということで、これは確認してよろしいですか。そこはちゃんと言わなきゃ、この議論は進まないんです。
○こども支援課担当課長 今、高野委員がおっしゃっていることは、当日、文化財専門委員の先生に頂戴した意見です。
○高野委員 であれば、そういうことをどうしてはっきりやらなかったのかということなんですよ。
さらに聞きますけれども、国の登録有形文化財を目指す必要が当然ありますね、文化財的価値があるということですから。それについての文化財専門委員の見解はどのように示されておりますか。
○こども支援課担当課長 今のままで改修していけば、国登録有形文化財としては、文句なく通る建物であるという御意見を頂戴しています。
○高野委員 通るかもしれないという言い方ではないんですね。文句なく通る建物であると。この点については、文化財課は今お越しになっていますかね。専門委員がそう言っていることについて、市としては、どう捉えていますか。通るかもしれない、通らないかもしれない。まあ、やってみましょうという見解ではないでしょう、これ。この日本語が正しければ、その点はどういうふうに認識していますか。
○文化財課担当課長 ただいま、高野委員御指摘の専門委員としての文句なく通る建物であるというような発言につきましては、大野先生ですけれども、登録有形ですとか、指定文化財の関係等もいろいろ携わってきた中で、そういった考えをお持ちということであるというふうに考えています。
しかしながら、最終的に登録を決めるのは、文化庁、文化審議会ということになりますので、基本的には、そういった意見というか、今後の建物の価値づけとか、というところで登録が決まっていくと考えております。
○高野委員 それは当たり前の話です。でなかったら、申請する必要はなくなるんですから、市で勝手に決めていいんだったら。しかし、鎌倉の文化財専門委員として、そういう認識を持たれて明確に意見が示されているわけでしょう。市としてもその認識は、共有しているわけですよね。その方は、そう言っているけど、いや市はそう思ってない。ということじゃないんですよね。であれば、文化財専門委員会を開いて確認してくれと言いたくなってくるんだけれども。いかがですか、その点。
○文化財課担当課長 当然ながら、その登録ができる可能性があるかどうかというようなことで、専門委員の意見を伺っております。市の専門委員の見解ですので、この見解に沿って登録というものを目指していければというふうには考えております。
○高野委員 ですから、その辺の話が、私の印象では明確ではなかったんですよ。(昨年)12月定例会では、はっきり言うと。何だか、あるような、ないような、私はそう聞こえたんです。だから、根拠を示してくださいというふうに、総務常任委員会でやったんです。根拠を示してくださいと、出てきたんですよ。
最後、こう書いてありますよ。いずれにせよ、今の施設の破損状態としては、これは、シロアリがわかってからですからね、8月ですから。「破損状態としては、文化財の保存修理工事を実施している建物からすれば、平均的な破損度より軽い状態である」、素人にはそう思えないんですよ、さっきも言ったように。素人からみると、全然そうは思わなかったんだけど、実はそうではないということ。木造文化財の保存修復というレベルの水準から見れば。このため、「現状の修理計画を追加工事で進捗すべきであり、新築計画に転換する理由にするほどひどい状態とは思えない。文化財的な価値を損なう損傷ではない」と。これが、今の鎌倉市の見解ということでよろしいですか。それをきちんと市民に説明すべきですよ。いかがですか。市の文章を読んだだけですよ。
○文化財課担当課長 市の専門委員会の委員の御意見でございますので、基本的にはこの意見に沿ってということで考えております。
○高野委員 随分小さい声で御答弁されましたけどね。だから、解体方針から転換したことに、ある意味、この問題だけは応援団みたいになっているんですけど、別に応援するために言っているわけじゃないですけど。解体方針から転換したことは正しかったと思っているんです。解体方針が間違っていたと思っているんです。当時から、解体方針を出す前から、専門家の意見をもっと聞くべきだったんです。3年も前ですよ。そうすれば、今よりひどくなかったでしょう。でも、時間的コストは、民主主義のコストは使ったけれども、そういう意見が出たんだから、そのことは、まず明確にしておきたいというふうに思います。
その上で、そうは言ってもお金は大分かかりますよね、というのが次の問題になるわけですね。議会でも、そこが随分議論になったわけです。その点ではまず、なかなか難しい面もあるんですけれども、一つは、専門的な見地から見て、文化財的な価値が明確であるということであるならば、問題とされている費用については、そもそも歴史的建築物の保存活用ということですから、一般的な子どもの家の整備の建築費とは概念が全然違うと思います。
私は、本当のことを言うと、前も言ったことありますかね、本当は、あの建物を子どもの家にするのは、私はどうかと思っているんです。ただ、3年前は議員ではなくて落選中でしたから、その議論を議会でする立場でもなかったですから。残念には思っていますが、しかし覆水盆に返らずで、それで3年やってきたわけでしょう。今さら(議論を)元に戻して、子どもの家は全く別なところにして、旧図書館はその性格にふさわしい保存の仕方をしろというのは、正論ではあるんですけれども。今の時点でそれをやると、多分、北鎌倉隧道を例えに挙げるのが適切かわからないけど、子どもの家についてもなかなか打開できない。旧図書館についても、他の用途と言ってもなかなか、今の市のスタンスからは見出しづらい。ひどいデッドロックにはまっていくんじゃないかなというふうに危惧しているんです。したがって、これは、今の方針を貫徹する以外にないというふうに考えます。…