現市政3期目最後の9月議会を終えました
日本共産党市議団を代表し、議案第25号令和2年度鎌倉市一般会計歳入歳出決算、議案第27号令和2年度鎌倉市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算及び議案第30号令和2年度鎌倉市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算については不認定、その他4議案については認定するものです。
令和2年度はコロナ禍のなかで、予算執行の見送りや先送りが目立ちましたが、気候危機のもと台風など災害の心配を多くの市民がしているなかで、特に樹林管理事業など市民の安全・安心に関わる事業は極力、見送りや先送りをせずに実施すべきでした。市民のくらしは医療費などの負担増やコロナ禍による営業・仕事の減少などにより、苦しい思いをされている方が多くおられます。学生のアルバイトが減少し、就学の継続に影響が及んでいる状況も生まれています。そうした市民に寄り添い、地方自治の本旨である「住民の福祉の維持・増進」の原点に返った市政運営を強く望むものです。
松尾市長の市政運営は間もなく3期12年を迎えます。市民サービスを担う職員体制について、鎌倉市全体における正規雇用の割合は約66%、非正規雇用は約34%であるのに対し、市の職員体制は正規雇用が約54%、非正規雇用が約46%と全市平均と比べても正規雇用の割合が大幅に少なくなっていることが分かりました。これでは公共施設再編や市役所のあり方、防災など職員自らが地域の実態や声を十分に聴いて施策を検討すべきなのに、実際は委託やコンサル頼みの企画・立案にならざるを得ないのではないでしょうか。
この点に関連して、特に日常的な道路や河川等の維持補修業務を担っている作業センター業務は市民にとって必要不可欠ですが、第4次職員数適正化計画による退職者不補充が続き、作業班が縮小し続けていることは市民ニーズに照らしても問題といわなければなりません。このままでは即応的な対応に支障がでる恐れがあり、いずれ作業センター自体がなくなってしまいます。関連計画を見直し、必要最小限の新規採用を行って技術の維持継承を図り、安全・安心なまちづくりにむけ、これまで以上に力を入れるよう求めるものであります。
こうした安全・安心の取り組みや安定した市民生活の支援に力を入れた市政運営を行ううえで、バランスのとれた財政運営が求められます。決算審査において、財政調整基金の適正水準について質疑をしました。前市政の時代には決算ベースで最高でも30億円程度だったものが、松尾市政になって50億円台になり、コロナ禍における令和2年度決算でも約48億円に及びました。議論の中で、財政当局として40億円以上は確保したいとの答弁がされましたが、過大な積み立ては行わず、高齢者への外出支援など適切な財政支出を行うべきです。適正水準に心がけた財政運営を行うよう指摘するものであります。
財政運営や市民との関係で大きく問われているのが、深沢事業用地における区画整理事業、市役所本庁舎の移転整備及び「村岡新駅」整備、これら「三位一体型」の大型開発事業の是非についてです。これらの全体事業費は500億円以上に及び、実際の負担がどうなるか、誰も先々のことは分かりません。
特に、村岡新駅建設について、令和2年度は概略設計を行い、その結果をもって今年2月に四者の覚書を締結するに至りました。駅舎だけでも鎌倉市の負担額は41億円以上に及びますが、再開発の専門家から次のような指摘がされております。「…鎌倉市は、新駅ができることから保留地が高く売れる、市では4.25億円を工面すれば済む、と説明している。そうだろうか。保留地を余分に確保し、減歩を強めることは結局、鎌倉市が現金でお金を用意するのではなく、深沢の土地を余分に放出するに過ぎない。区画整理を迂回させた市負担のゴマカシである。…施行区域をまたがる異例の区画整理事業を検討し、実際の負担を覆い隠す目算にみえる」という指摘です。そのうえで、さらに思惑通りに地価が上昇しなければ自ずと税金の負担は増えることになり、机上の計算通りに事が進むとは誰も確証できません。深沢地域整備事業については、今からでも新駅設置による一体施工を中止し、身の丈に合った無理のない事業計画に見直しを図るよう改めて求めたいと思います。
現市政において最も深刻な課題の一つが、ごみ問題です。令和2年度も今泉クリーンセンターを候補地とする生ごみ資源化施設整備は進捗がありませんでした。建設を強行しないよう求める陳情は全会一致で採択されており、もはや時間をかけても建設への展望は開かれません。今後のごみ処理行政において、早期に生ごみ処理施設の候補地及び処理方式を変更する方向で決断すること。家庭系ごみにおいても最新のバイオマス技術の活用を追究すること。これ以上、大町・材木座地域に過度な負担を負わせないよう、中継施設建設にむけては、地域住民の信頼をしっかりと得るために地域還元策を含め、できることを最大限行うこと。こうした視点で、責任あるごみ処理行政を再度確立していくよう強く求めるものであります。
次に、国民健康保険事業については、非正規雇用の拡大などを背景に、被保険者の平均所得が減少する一方、保険料の負担は増え続けるという構造的問題に陥っています。根本的には国が公費を増やすなど抜本的な運営改善が不可欠です。同時に、高すぎる保険料を何とか抑制している施策である一般会計からの繰入金をなくしていくことは、被保険者に深刻な負担を及ぼすことになるため、市として、県広域連合の判断で一般会計からの繰り入れを認めることなど強く求めていくべきです。仕方ないでは済まされません。
最後に、後期高齢者医療事業について、令和2年度は保険料が負担増となり、低年金者の方などに生活上の影響が出ています。基金の活用を含め、市として最大限、負担の軽減に努めるよう求めて、討論を終わります。