○事務分掌条例反対討論 2020年12月18日 本会議
議案第79号鎌倉市事務分掌条例及び鎌倉市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について、日本共産党鎌倉市議団の反対理由をご紹介します。
機構改革はあくまで市民本位の行政サービスを効率的かつ効果的に進めるためのものでありますが、今回の提案はそもそもなぜ今の時期なのか、強い違和感があります。前回の事務分掌条例改定は、市長の3期目就任直後の2017年12月議会でした。あれから3年たち、来年10月で市長の任期が満了となります。任期を1年きった時期になぜ機構を大幅に変えるのか、全く理解できません。仮に次期も市長の任を続ける意思があるのなら、来年の市長選挙後に行うべきではないでしょうか。
そのうえで内容についてですが、今回提案されている事務分掌条例改定案の中で、教育委員会所管の文化財部をなくして、教育部に統合する発想には強い違和感があります。結局、県からきた文化財部長の退職に伴う穴埋めをせずに、人件費が削れるから良いという発想ではありませんか。委員会審査の中で、そのことは文化財行政の位置づけの低さを表しているのではないかと指摘しましたが、もともと2部しかない教員委員会の部局を統合する必要性は理解できません。学校教育などを中心とした部局と文化財行政の部局とは、連携する必要があっても性格は異なるものと言わなければなりません。
組織の見直しにあたっては、それが住民ニーズに根差した目的と内容になっているかが問題です。その点でいうと、「全庁的な課題だから」と共創計画部に移した交通課を、今度は「まちづくり」だからと言って僅か1年で移動することは理解できません。また、「行政経営部」を設置した大きな背景の一つに、公共施設再編計画を本格的に進めていく意図があったと思われますが、住民の声や様々な意見を徹底的に汲み上げ、そのエネルギーを活かすことなしに、市役所移転を含む再編計画の成功はないと3年前に申し上げました。
その点でいえば、市民的な焦点である市役所本庁舎移転計画について、既成事実であるかのように深沢地域整備事業の所管課に移すことは容認できません。現在地の整備を含め、公共施設再編と深く関連する問題であることから担当を切り離すべきではありません。
又、地域住民サービスの拡大・充実を図るとして10数年前に行政センターの責任者を次長級にしましたが、公共施設再編計画では窓口業務の縮小など進めようとしています。公共施設機能はむしろ5地域を中心として強化し、市役所機能も分散化すべきと考えています。今回行政センター責任者を課長級に引き下げることで、地域住民のサービス縮小が恒常化されるのではとの懸念があります。
さらに、文化課の所管となる平和推進事業について、来年度から市民公募をやめることにより「平和推進実行委員会」を休止する方針であることが委員会審査において明らかになりました。昭和33年におこなわれた「平和都市宣言」に基づく事業として、平成7年の戦後50周年記念事業を契機に、平成8年から公募された市民による「鎌倉平和推進実行委員会」が発足して今日に至っています。今回の機構改革とは直接的な関係はないとの答弁ではありますが、機構改革を行うタイミングで明らかになった以上、看過できません。明らかになった見直し方針を撤回し、平和都市宣言を活かす立場で所管課にきちんと位置づけるよう強く要求するものであります。
以上の理由から、来年に選挙を控えた現時点で提案された機構改革は適切でないことから、本議案に反対することを表明する桃です。