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2019年10月2日

玉縄青少年会館廃止議案他3議案についての反対討論(高野議員)

ただいま一括議題となったもののうち、先ほど議決されました陳情第21号にも関連しますが、まず議案第36号鎌倉市青少年会館条例の一部を改正する条例の制定について、日本共産党鎌倉市議団を代表して意見を申し上げます。

鎌倉市の青少年会館は、鎌倉地域の二階堂に鎌倉青少年会館、そして玉縄地域に玉縄青少年会館と2館あります。それを老朽化等の理由で1館体制にしようというのであれば、それに相応しい行政としてのビジョンが示されなければなりません。今回の廃止議案提案が公共施設再編計画に基づいているとしても、個々の施設の再編・統合・廃止などの具体化をおこなう時点で、その施設に対応した行政計画を見直し、その過程で利用者や住民の声・意見を聞き、十分に調整したうえで行政決定し提案すべきではないでしょうか。

今回の廃止議案には、この点が欠けており、行政の過程として重大な欠陥をもった提案であるため、具体的に知らない利用者や住民の皆さんが驚かれたのは当然であります。玉縄青少年会館を含む青少年行政の中心となる行政計画は「子ども・若者育成プラン」ですが、重点目標の最初に「青少年の居場所づくり」が掲げられています。現在のプランには居場所として「既存の公共施設や地域の公会堂等…」と記載されており、同時に「青少年会館が青少年にとって居場所になり得る取り組みを進めます」と明確にされています。

青少年の居場所や多世代の活動の保障など、この分野の取り組みをどう進めていくか、そのことと拠点である青少年会館の再編をどう両立させるのか。そうしたビジョンが先になければ、何のために公共施設があり、職員は誰のために仕事をしているのか、その根本が問われることになります。教育子どもみらい常任委員会の審査の中で担当課長は、現在の計画と青少年の居場所としてのニーズに齟齬が生じている、そのことから玉縄青少年会館の居場所としての機能は、青年のニーズと合っていない旨の驚くべき答弁をしました。

本当にそうであれば、行政計画の見直しを先にしなければなりません。見直しの過程で当然、青少年問題協議会をはじめ、利用者団体や住民の考えを十分に聞き、本当に居場所として玉縄青少年会館の位置づけを変更するのか、施設廃止に踏み切るべきなのか、十分な調整を図ったうえで行政として方針を具体的に決定し、議会に提案すべきであります。

さらにいえば、今議会の総務常任委員会に「令和元年度行政評価の結果について」報告がありましたが、青少年育成分野の行政評価シートにどう書かれているか。263ページから267ページにかけてですが、特に「(6)評価結果や市民意識調査結果をふまえ、施策の方針等としての今後の方向性」について、こう記載されています。「平成28年3月に改定した鎌倉市子ども若者育成プランの3つの重点目標のうち、青少年の居場所づくりとして、玉縄青少年会館に自習スペースを設置した。今後も周知に努め、居場所づくりを継続して実施していく」。今回の施設廃止提案と正反対の行政評価であり、行政の基本的な内部統制すら図られていないではありませんか。市政のあり方として重大な問題であります。

市民や利用者が置き去りにされてしまった根本原因には、こうした行政の致命的な問題があり、このような重大な矛盾を放置したままでは、もはや市民自治とはいえません。

以上のことから、市民や利用者を大切にした検討を行う必要があり、最初から仕切り直すべきことを強く申し上げるものであります。玉縄青少年会館の廃止議案に強く反対することを申し述べるものであります。

 

次に、議案第40号児童発達支援センター条例の一部を改正する条例の制定について、意見を申し上げます。

市は、平成23年4月に指定管理者制度導入等を含めた、あおぞら園のあり方について検討結果を出しています。検討過程で保護者からは指定管理の問題点として「指定管理期間満了後の継続指定の保証がない」「障害の特性から大変デリケートな子どもたちなので、支援の継続性が図られにくい指定管理者制度導入には不安」と述べられています。検討結果は、「あおぞら園と障害児活動センターはどちらも障害児とその家族の福祉の増進を目的として設置している。障害児支援のハブ施設として人材育成等の役割を担う施設であり、障害児活動支援センタ―は障害児支援の一部を担う施設として、その役割は大きな違いがある。指定管理が目的とする財政負担軽減や市民ニーズに応じた効率的サービスの視点より、専門性の蓄積や継承、人材育成などの視点をより重視する必要性を明らかにし、今後もハブ施設としての機能の充実を目指していくべきと考える。指定管理者制度導入による効果の視点より専門性の蓄積や継承と人材育成の視点に重点を置くことが鎌倉市の発達支援体制の構築に効果的であるため、公設公営でいくことが必要」と位置づけました。

その後、市は第4次職員数適正化計画の対象の一つに、あおぞら園を含めました。そのことが指定管理者制度導入を進める動機となっており、いま紹介した市の検討内容及び結果を考えると、職員削減ありきで市民不在のやり方と言わざるを得ません。

市は、「あおぞら園指定管理者制度導入の課題と対応」について、「今後ハブ的な機能は、発達支援室が担っていくこととなる」と述べ、「発達支援室所属保育士2名と、あおぞら園から発達支援室に配置替えする保育士2名児童支援員等が核となり、発達支援室が用意する人材育成プログラムに基づいた保育士等の人材育成を行う」としています。

結局、あおぞら園に代わって発達支援室がハブ的機能を担うということは、ハブ的施設として市が運営するあおぞら園の役割を否定できないことの表れであります。そうであるなら、保育士や専門職を適切に配置し、発達支援のハブ施設として市が責任をもって運営すれば良いのではありませんか。このように指定管理者制度導入には道理がなく、必要性の根拠に欠けることから反対するものであります。

 

最後に、議案第41号鎌倉市子ども会館条例の一部を改正する条例の制定について及び

議案第43号放課後子ども広場条例等の一部を改正する条例の制定について、意見を申し上げます。

両議案は、玉縄子ども会館を閉館し、それに伴う子どもひろばの運営を指定管理者制度にする内容でありますが、特に、管理者を福祉分野や子育て施設になじまない株式会社にする可能性があることは問題であります。

市は乳幼児から中学生までの居場所である子ども会館を「放課後かまくらっ子」に置き代えているわけですが、学童保育の待機児対策としては詰め込み方式でなく、家庭的保育としての小規模な施設での保育が大切です。乳幼児等の居場所を減らす施策は、子育て支援の方向に反する対応であることを指摘するものであります。

以上申しあげました、いずれの議案においても、市民や利用者を置き去りにしたやり方では信頼を得られず、市政に大きなツケを残すことを申し上げ、討論を終わります。

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