2月22日の本会議で日本共産党市議団を代表して、吉岡和江議員が鎌倉市2019度一般会計予算他関連議案について、代表質問を行いました。
質問内容をご紹介します。
日本共産党鎌倉市議団を代表して、議案98号平成31年度一般会計予算他16議案について質問いたします。理事者におかれましては前向きな答弁をお願いします。
(1)SDGsを市政の理念に取り入れることの意味について
「誰一人取り残さない政治」この言葉は2015年9月の国連総会において全会一致で採択されたSDGs(えすでいじーず)・持続可能な開発目標、のスローガンです。SDGsは世界が2030年までに「地球環境や気候変動に配慮しながら、持続可能な暮らしや社会を営むため」に達成すべき17の目標と各目標を実現するための 169ターゲットからなっています。その内容は「貧困と飢餓の根絶」「質の高い教育の実現」「女性の社会進出の促進」「再生可能エネルギーの利用」「経済成長と生産的働きがいのある雇用の確保」「不平等の是正」「気候変動への対策」などです。
日本でも政府がアクションプラン2018を策定し、自治体レベルでは、全国29自治体を選定し、鎌倉市もその一つに選定され、持続可能な都市経営「SDGs未来都市かまくら」の創造を目標としています。
市長はSDGsの「誰一人取り残さない政治」のスローガンを実現する考えのようですが、本気で行おうとすれば私たちの政策とかなり近いことが実施されることになりますが、そうした市政運営を今後、本気でやっていくのか、基本的認識を伺います。
(2)不要不急の大型開発・大型事業推進か「住民が主人公のまちづくり」か
いま地方政治は住民の暮らしの困難、福祉・医療の危機、地域経済の衰退、人口減少、災害の復旧と備えなど多くの課題に直面しています。これは長い間の自民党政治が招いたものです。さらに安倍政権の数年間で国の制度改悪による社会保障削減や「広域連携」「集約化」と称した都市部での開発と立地の集中、オリンピックに名をかりた開発、カジノ誘致合戦、学校や公営住宅をはじめ公共施設の統廃合・縮小、上下水道の広域化・民営化などを推し進めています。
地方自治体が政府言いなりで住民に負担を強いるのか、それとも国の悪政から住民を守る役割を発揮するのかが問われます。鎌倉市においては深沢地区と村岡新駅との一体開発、市役所移転など一般会計の年間予算にも匹敵する戦後最大の大型開発が進められようとしています。一方で、老朽化した道路や下水道などインフラ整備・改修、防災・安全対策、緑地管理、学校や保育園といった公共施設の耐震化,改修など暮らしに密着した公共事業へのニーズは強まる一方です。
今、不要不急の大型開発・大型事業推進か、「住民が主人公のまちづくりか」が問われています。SDGsの理念は後者のはずですが、市長の明確な見解を伺います。
1.国政の防波堤となり、福祉と子育て生活・暮らし最優先の市政へ
(1)大きな項目の一番目、「福祉と子育て・暮らし最優先の市政」を求めて、まず国民健康保険について伺います。今年度、運営主体が市町村から都道府県単位と移行しましたが、国はこれを契機に「県内の保険料を統一する」として多くの自治体が保険料抑制のため行っている「一般会計からの繰り入れを解消するよう求めています。
国保加入者の平均所得は減り、一方で保険料は上がっていると認識していますが、市の認識を伺います。
鎌倉市も一般会計から繰り入れを行っていますが、今後も繰り入れを継続すべきと考えますが、見解を伺います。
また、繰り入れしない場合の国保保険料負担の現状と31年度の保険料負担のみこみについて伺います。
国保料は企業などで働く方が加入している協会健保など社会保険と違い、応益割があり、均等割によって、世帯人数が多いほど負担は増え、子育て支援とは逆行します。全国知事会で、30年度に続き、「平成31年度国の施策(しさく)並びに予算に関する提案・要望(社会保障関係)」(30年7月27日)の中でも、「子どもに係る均等割保険料軽減措置の導入」を国へ要望しています。
すでに仙台市、加賀市、富士見市、北九州市が均等割の軽減制度を市独自で実施しています。清瀬市では第2子以降の子どもの国保料の均等割について、前年度所得が300万以下の世帯には5割減額する制度を5年間との限定としつつ初めて導入しました。鎌倉市においても軽減制度を新設すべきと考えますが、いかかがでしょうか。
また、鎌倉市において、清瀬市と同様の減免制度を導入した場合の対象世帯と減免額について伺います。
(2)次に、介護保険利用料の軽減・減免制度について伺います。国が一定収入以上の高齢者の利用料負担を3割に上げる、特養ホームの居住費負担等利用料の負担増で年金だけでは入所できないことや、在宅でも住み続けることは困難な事態が広がっています。特養ホームの入所待ちで、やむなく有料老人ホームへの入所をしている世帯もあり、負担の重さに「人生100歳時代と言われているが、貯金が底をつき、そこまで暮らせるのか不安。」との声が寄せられています。
こうした事態に対し、市はどのように認識されているのか。市独自の軽減、減免制度の拡大、充実が必要と考えますが、見解を伺います。
(3)在宅介護を支えるためにも特養ホームのさらなる増設は必要です。待機者の現状と待機人数、今後の増設計画について伺います。
(4)介護を支える事業者からは、平成27年に報酬単価が1割切り下げられ、低賃金から「男性の寿退社」もあるとのことなど、人手不足も加わって、この4年間で、多くの小規模~中規模のデイサービスが閉鎖せざるを得ない状況になっています。最近では、鎌倉市社会福祉協議会が介護分野からの撤退方針を決めたと聞いています。
この事態をどう受け止めますか。介護労働者の労働条件の改善のため、市としての対策について伺います。
(5)次に、65歳以上障害者の「介護保険優先原則」との関係で伺います。
障害者が65歳で介護保険サービス利用に移ると、必要なサービスが受けられなくなったうえ、利用料の負担まで発生する「介護保険優先原則」の規定により、生活の質の低下を余儀なくされている実態があります。
視覚障害者にとって欠かせない読み書きの支援が介護保険サービスにはなく生活を支え切れない問題が生じていると認識しています。「障害福祉施策と介護保険とでは制度の趣旨がそもそも違う」と関係者は指摘しています。65歳以上である障害者の方の生活を支える上での問題点は何でしょうか。障害をもった高齢者の人権を守り、生活を支えるサービスが継続できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
また、障害者の人権を守る視点からも、鎌倉市の高齢障害者のサービス等の実態をつかみ、「介護保険優先の原則見直し」を国に求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
(6)障害者医療費助成制度の対象拡充について伺います。鎌倉市では障害者医療費受給者証の発行に年齢制限があり、65才以上の方は対象になっていません。たとえば脳梗塞による麻痺と視覚障害で障害者手帳2級を取得した方が63才であれば、医療費の窓口負担の免除が65才を過ぎても継続します。
しかし、66才であれば手帳の取得は出来ても医療費の窓口負担は免除になりません。これは自治体によって違いがあり、年齢制限がない自治体も多くあります。
市民からは障害のため移動の自由が制限され、その費用負担、更に医療費負担と財政負担が厳しいとの訴えがあります。
身体障害者福祉法による障害等級に該当すれば、様々な生活支援サービスを受けられる障害者手帳が取得でき、さらに重度の障害にあたる方には障害者医療費受診証が発行され、医療機関に受診する際の窓口負担が免除されます。障害をお持ちの方にとって安心して医療機関にかかれる心強い制度です。
障害を持った時の生活の支えとして、鎌倉市でも年齢制限を無くし、65歳以上の高齢者も障害者医療費助成制度の対象に戻すよう検討を求めますが、見解を伺います。
(7)後期高齢者医療制度について伺います。保険料の9割減免が今年10月から廃止するとの計画ですが、その結果、国保現役世帯と比べて、一定所得から後期高齢者保険料の方が高くなってしまうと聞いています。
さらに受診料の2倍化の方針が昨年出されましたが、現役時代公務員だった方が「受診料が2倍になったら病院に行く回数や薬を控えることも考えてしまう。蓄え(たくわえ)も少なくなってきたらと思うと不安」と訴えています。
市として受診抑制等で重症化をなくすよう、東京都日の出町で実施しているような負担軽減策を講じるよう求めますが、いかがですか。
(8)健康づくりについて伺います。健康な暮らしは市民の願いであり、鎌倉市健康づくり計画では「誰もができるだけ長く、生き生きと自分らしく暮らすためには“健康”であることは大事な要素の1つであるとし、様々な施策を行っています。
健康づくりは医療費、介護の抑制にもなる大事な施策であり、市民の生活実態を踏まえ、市として積極的支援が必要です。
20数年前と比べ、平均所得は50万円近く下がっていますが、ガン検診料金は負担増が続き、数倍にも増えています。
検診を受けることで、早期発見・早期治療を促すことは医療費抑制にもつながり、市民にも行政にもプラスではないでしょうか。検診料の軽減を行い、適正な検診料に改善することが必要ではないかと思いますが、見解を伺います。
特定健診の推進は自分の健康状態を知り、健康的な生活を促すうえでも大切な取り組みです。鎌倉市の特定健診率は33、1%とのことですが、目標の45%達成を目指しています。健診率を高めるための取り組みと課題について伺います。
横浜市は2018年から特定健診料を無料にし、健診率向上をめざしています。横浜市健康福祉局保険年金課では「受診率があがれば、医療費抑制に加え、保険料も抑えることができる。無料化と併せて、それぞれの年代にあった啓発をきめ細かに行うことで受診率向上を目指したい」としています。鎌倉市においても無料化の検討を求めるものですが、改めて見解を伺います。
若年層への検診の取り組みについて伺います。国民健康保険加入者の4割が非正規労働者に変化している中で、40歳未満の若年層への検診の重要性は増しています。市は20歳から38歳を対象に平成18年から26年までキット健診を実施し、27年からはスマホdeドックを実施しています。20歳過ぎたら自分の体のメンテナンスとして、今の体の状態を知って、生活の見直しを目指してもらいたいと取り組んでいます。受診率などその課題について伺います
(9)小児医療費の無料化拡大と所得制限の撤廃について、伺います。
全国知事会・市町村会は28年3月28日、少子化対策の一環として子育て家庭の経済的負担を軽減するため、地方自治体として単独事業で軽減措置を講じているとして、国の責任において、子どもの医療にかかる一律制度を要望及び独自制度を実地している自治体の国庫負担の削減をやめるよう要望しています。
県内自治体において、小児医療費の年齢拡大及び所得制限撤廃が進んでいます。県内では12市・12町村が中学校卒業まで、うち所得制限撤廃は横須賀市を含め5市、葉山を含め9町村に広がっています。鎌倉市においても、より一層の拡充と所得制限撤廃の検討を求めますが、いかがですか。
(10)高齢者交通費助成制度の復活・充実について伺います。
健康長寿の推進のためにも高齢者が外出しやすい環境づくりは重要です。また、高齢者による事故の多発から高齢者運転免許証返納が進められています。鎌倉においての返納実数は増えていると聞いています。返納を促すために、警察においては外出等の助成を促す取り組みが行われています。先日、警察でお話を伺いましたが、バス会社にも助成制度を行ってほしいとの要請を行っているとのことでした。警察関係者は鎌倉市が平成25年度まで実施した高齢者交通割引乗車制度について「年間2000円の助成制度は鎌倉市の全体予算からも微々たるもの」との感想も述べていました。
また、バス会社やモノレールとも懇談した際、共に「趣旨は大いに賛成です。ぜひお願いしたい」、「横須賀市は廃止意向と聞いていたが、新たに葉山町が助成を始めたので廃止をやめたらしい」といった情報も寄せられ、是非取り組んでいただきたいとのことでした。
市長は高齢者交通費助成制度について、財政が厳しいとか、「優先順位が低い」との見解ですが、市民の声を全く聞いていないのではありませんか。市民の要望や生活実態をどのように把握していますか。ある地域の老人会の方々からも切実な声として伺っています。そういう声が耳に届かないのですか、それは市民の中に入っていないということです。何でも自分で努力しなさい、お金がない人は外に出られなくてもいいということですか。後で伺うロードプライシングとの関係でも全く矛盾しています。困っている市民に交通費の補助もしないで観光客対策ですか。明確な答弁を求めます。
(11)次に、子育て支援について、公立保育園の民営化とあおぞら園について伺います。鎌倉市では、かつて児童福祉審議会に「地域における子育て支援のあり方について」諮問をし、平成12年から14年まで、保育関係者等の意見を審議会で直接伺うなど丁寧な論議を19回重ねました。答申では、「保育事業は市場原理に全くなじまない」「民間企業は利益を生むことが常に求められ、利益が得られない市場からは撤退する性格を持たざるを得ない」「民営化は福祉コスト削減という観点から検討すべきでなく、より適切な運営を通じて鎌倉市の保育水準の向上を図るという視点から検討」をと述べています。
しかし、今回の市の提案は、①公共施設再編計画で単独施設は作らない、②職員数適正化計画で民間業者への業務委託化等による職員数の減員手法として公立保育園の民営化があげられているとして、具体的には腰越保育園と大船保育園の民営化を進める理由にあげています。
保育園、及び「あおぞら園」の民営化は福祉施設本来の運営のあり方からも問題があるのではないでしょうか。見解を伺います。
次に認可保育園への支援について伺います。
民間保育園は保育指針に基づき、日々、子ども達の成長と保護者の方が安心して働ける環境を支える役割を果たしています。しかし、その運営の現状はどうでしょうか。
障害児保育に対する保育士加算は1日2時間程度の補助しか保障されていないと聞いています。老朽化した保育園の建設にも園として自己負担が生じる、土地の確保や借地料負担が運営に重くのしかかり、保育士の賃金に影響し、低賃金とならざるを得ない実情があります。公立保育士と比べて賃金が低く、保育士の確保が大変厳しいとの訴えが寄せられています。
そうした中で、認可保育園に対する障害児保育加算の継続増額や借地料補助の新設が必要ではないでしょうか。見解を伺います。
(12)子ども会館について伺います。市は放課後学童保育の待機児対策として、放課後かまくらっ子として放課後子どもひろばと学童保育を子ども会館に設置し、子どもの家がない単独子ども会館は閉鎖、放課後かまくらっ子を開設した子ども会館は子ども会館条例から外す方針をとっています。今議会にも関係議案が提案されています。
鎌倉市は子ども会館を全小学校区に設置する方針を持ち、実現に努力してきました。子ども会館に子どもの家を設置し、乳幼児から中学生まで自由に交流できる居場所としての歴史を重ねてきました。今回の提案は子ども会館の機能・目的を変え、乳幼児の居場所を狭めて(せばめて)いるのです。
今回出されている、腰越子ども会館と西鎌倉子ども会館の閉鎖方針は、腰越地域においては子育て支援センターがないことから、腰越地域においては自由に乳幼児が利用できる居場所がなくなってしまいます。長谷子ども会館の閉鎖の説明では由比ガ浜こどもセンターに乳幼児の居場所があると答弁していましたが、腰越地域にはそれさえないのです。
子ども会館は学校の垣根を超え、乳幼児から中学生までの子どもたちが、大人の見守りの中で、成長し、交流できる場所です。核家族、少子化が進み、異年齢の交流の機会が減っている中で、大事な場所であります。小学校区単位の身近な場所だからこそ、小さなお子さんを連れた保護者も利用しやすいのではないでしょうか。子ども会館の縮小について見直しすべきと考えますが、見解を伺います。
長谷子ども会館については請願の趣旨に全面的に沿った取り組みをすべきですが、現状はそうなっていないのではありませんか。議会が請願採択したことを活かさないのですか。答弁を求めます。
(13)1人親家庭への支援と市営住宅の拡充について伺います。
現在、市営住宅の建て替え計画が進められています。入居者の5割が高齢者、単身者ですが、今までの住宅を壊し、笛田地域に350戸を建て替えするとのことです。公共施設再編計画では延床面積を減らすことが求められており、戸数は減らさず、床面積を減ずる方針から、ファミリー向け住宅は制限するとのことでした。様々な世代の人々が地域でともに暮らす町づくりが必要であり、子育て支援の立場からも市営住宅の戸数増やファミリー層向け住宅戸数増の検討を求めますが、いかがですか。
また、1人親家庭の経済状態は厚生労働省の調査からも母子家庭の平均収入が年間243万円と厳しい実情からも家賃補助の改善が必要です。見解を伺います。また、市営住宅への入居促進や家賃減免制度の拡大について伺います。
(14)就学援助制度の新入学学用品の支給前倒しについて伺います。(入学準備金について)子どもの貧困が社会問題化しているなかで、就学援助金は後払いであるため、特に経済的に苦しい家庭が苦慮している問題があります。中学校入学時には入学前の支給が可能になる改善が図られましたが、小学校については入学前の支給は難しいという見解が示されています。県内では、小学校就学前の支給を実施している7自治体に加え、来年度から新たに藤沢市・小田原市・秦野市・綾瀬市・寒川町及び箱根町で実施予定と聞いています。なぜ鎌倉市はできないのか。小学校入学前だと、学齢簿という学籍を管理する帳簿の整理が終了していないことが理由のようですが、それは他市も同じではありませんか。
綾瀬市では、平成30年11月1日に住民票があれば、小学校入学前の児童を対象に援助金を支給するとしていますが、そうした他市の取り組みから学んで、早期に小学校の入学前支給についても実現に向け取り組んでいただきたいと要望しますが、いかがでしょうか。
(15)給食費の軽減について
次に、デリバリー方式の中学校給食について、鎌倉市では喫食率が非常によく成功事例とされていますが、その要因や特殊事情として、業者が深沢地域に専用の工場を建設し、ごはんと汁物について温かいものが提供できていることが重要な要因の一つと思います。給食は食育という観点からも、何より多くの生徒に食べてもらえることが重要であると思います。
そのことに関連して、就学援助世帯だけでなく、例えば子どもが多くいる世帯や所得基準を拡大して、給食費軽減の取り組みを提案しているところですが、検討すべきではないでしょうか。全国の自治体の中で、給食費の無償化を含めた取り組みが広がっていることから、検討を始めるよう求めるものですが、見解を伺います。
(16)学校老朽化対策について
学校施設の老朽化問題については、今年度調査を行い、来年度に学校施設整備計画を改定予定とのことですが、いつごろ何をするかという年次計画として明確に定める必要があります。来年度に向けた取り組み状況を伺います。
財政面の配慮もしつつ、教育現場として地域の拠点づくりという性格もあり、きちんとした計画づくりが強く求められます。一番古い施設は昭和40年設立の腰越小学校であり、山崎小学校や第二小学校など既に改修が求められています。公共施設再編のための改築ではなく、学校の実態に即した客観的な優先度をもって、学校施設の改築・大規模改修及び長寿命化について進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
(17)小中学校・体育館へのエアコン設置について
公共施設再編の拠点校を選考していくために学校施設整備計画を作成するのではなく、学校施設整備計画の中で建替え等の時期を捉えて(とらえて)再編を可能であれば行うというスタンスを強く求めるものです。
次に、冷暖房設備など学校を取り巻く施設整備についても計画作成が求められると思います。この点で、教室への冷暖房設備の設置は来年度で完了しますが、避難所対策という点からも学校体育館へのエアコン設置の計画が必要と考えます。学校施設環境改善交付金のメニューにある「大規模改造事業(空調設置)」などを活用して取り組むよう求めるものですが、いかがでしょうか。
(18)鎌倉生涯学習センター休館への対応について
次に、鎌倉生涯学習センター休館問題への対応について、先月、議員団として市長及び教育長に申し入れを行いました。テレワークなどの「先進的なもの」を声高に叫んでも、土台となる姿勢がしっかりしていなければ何の意味もありません。困っている市民に寄り添う心ある姿勢が何よりも求められます。
来年度から約1年間かけて改修工事を行い、来年7月に開館予定とのことですが、その間、一切の利用ができないため、市民活動に大きな支障が生じており、現状の市の対応では不十分と言わざるをえません。
昨年12月に開催した利用団体に対する説明会の中で、教育委員会の見解として、平成21年に実施した耐震診断について設計業者の診断が間違っていたことを明確に認められました。ならば条例上やむをえないとは必ずしもいえず、利用団体への補償を検討すべきではありませんか。
また、備品等の貸し出しやピアノの利用など利用者から多くの声が出されています。昨年12月議会で求めた市役所会議室等の市民利用を含め、要望に応えた一定の取り組みが行われていることは承知していますが、市として、市民の利用権や活動を最大限保障していくためにどうしていくのか、市長及び教育長の責任ある判断が問われています。
鎌倉生涯学習センターの休館に伴う市民に対する今後の対応について、市としての方針を明確に示すよう強く求めるものですが、いかがでしょうか。
2.大型開発優先ではなく、地域に根ざした振興策を
(1)村岡新駅問題と深沢地域整備事業のあり方について
大きな項目の二番目、「大型開発優先ではなく、地域に根ざした振興策を」求めて伺います。昨年12月末、鎌倉市は藤沢市村岡地区と深沢地区のまちづくりを一体施行で取り組むこととし、3県市は村岡新駅設置協議会を設立し、JRに新駅設置を求めていくことで合意したと発表しました。
新駅設置について多くの市民は要望していません。議員団として一昨年、全戸配布して市民にお願いしたアンケートにおいても約8割が反対、「税金を使って新駅はいらない」「東京方面から遠くなる新駅は利用しない」と多くの方が書かれていました。
新駅設置に係る費用負担について、JRに費用負担の要請をしていくとのことですが、駅の概略設計費用は、なぜJRに負担を要請しないのでしょうか。JRの負担で実施しなければおかしいと思いますが、伺います。
乗降客数は全体で65800人と想定していますが、大船駅と藤沢駅を現在利用している乗降客の中で、35200人が「新駅」を利用するとしています。また、新たに30600人の乗降客をどうやって増やすというのでしょうか。
調査報告では現在、梶原5丁目や関谷等から徒歩で新駅を利用するとありますが、実態に合っているとは思えません。現在利用している乗降客が新駅を利用する根拠を含め、責任ある検討といえるのか、伺います。
深沢地区まちづくり計画では約3000人の人口増を見込んでいますが、例えば高層マンションを10~11棟増やす計画なのでしょうか。昭和30年代から40年代にかけて、山林を崩して建設した、鎌倉の多くの住宅地域は同時に高齢化を迎え、空き家も増えています。公共施設再編計画では人口が1割減少し、財政負担から公共施設の床面積を26、6%減らすとし、現在、行政センター機能の縮小や子ども施設の民営化、廃止、市営住宅の集約化を進めています。
そうした中で、深沢まちづくりだけは特別なのでしょうか。新駅設置に53億円以上、深沢地区区画整理事業に205億円、シンボル道路橋に15億から20億円、市役所移転に180億円、総合体育館整備に推計で約40億から50億円、消防本部の移転整備に推計で約20億円、合計で500億規模となる戦後最大の公共事業となるのです。
大規模開発を推進し、市民に身近な福祉や暮らし向きの施策はお金がないといって先送りし減額する、それでいいのでしょうか。税金の優先度が間違っているのではありませんか。見解を伺います。
黒岩県知事のヘルスケア・ニューフロンティア政策は、川崎で富豪の外国人向けの病院を誘致するなど、未病という名で、市民の要求からかけ離れた大型事業推進という印象を受けます。就任時はあれほど「箱モノ行政」を批判していた松尾市長は、結局、黒岩県政と一緒に大型事業優先の市政にかじを切っていくのですか。
市長はSDGsの推進をうたっています。新駅設置と一体の開発は、その精神にも反し、市民の願いとは違った方向性になっていると思いますが、見解を伺います。
急速な人口増を伴う急激なまちづくりは、20年後から30年後に建物の急速な老朽化や高齢化が及んでくることは現在の状況をみても明らかです。持続可能な開発をSDGsは述べていますが、人々が生まれてから命を全うするまで、幸せに、その人らしく暮らせる町づくりこそ市政の第一の仕事ではないでしょうか。
平成の大合併が進められましたが、その中で合併を選択しなかった小さな自治体では、住民と行政が一体となって元気に持続可能なまちづくりを発展させています。岡山県奈義町(なぎちょう)は「箱モノより住民サービスの重視」の考え方で子どもから高齢者まで安心して暮らせる町づくりに取り組み、2014年には全国最高水準の合計特殊出生率2.81を達成しました。先に紹介した東京都多摩地区の日の出町でも大規模開発をやめ、日本一の福祉の町づくりを目指し、合計特殊出生率を伸ばし、近隣からも公務員が引っ越してくる町に変化しています。
2つの自治体の特徴は大規模開発でなく、市民の福祉・子育て、優先の持続可能なまちづくりにしていることです。
貧困と格差の拡大、高齢化、頻発する自然災害に対応するためにも新駅ありきの大規模開発は見直し、1人ひとりの暮らしと人権を保障する自治体が必要ではないでしょうか。それこそがSDGsの精神ではないでしょうか。新駅と深沢の一体施行による開発は企業誘致型の大型開発であり、見直すべきです。責任ある答弁を求めます。
(2)中小企業振興基本条例の制定について
今国会で大問題になっている毎月勤労統計調査の不正が明らかになりました。間違った調査をもとに景気が回復したとして、消費税を10%への引き上げることを決めました。ただでさえ消費税が5%から8%になり、いまだに景気が回復していない中、消費税を10%にしたら、日本経済を破壊しかねません。
昨年、神奈川県商工団体連合会が行った従業員が5人以下のアンケート調査によると、62%の事業者が、消費税が5%から8%になって「売り上げが減った」と答えています。売り上げが減ったと答えた事業者のうち売り上げの少ない事業所ほど売り上げを減らしている実態も明らかになりました。
党議員団は事業者の収益の状況、消費税の免税業者の把握、後継者不足の実態、事業所の老朽化等、小規模事業者の実態把握に努め、事業の持続的発展ができるよう、鎌倉市の責務を明確にし、農漁業を含めた小規模企業振興基本法に基づく条例を検討するよう要望しています。今回、「鎌倉市商工業振興計画推進委員会条例の制定」が提案されていますが、どのような目的で、どういう議論をするのか伺います。
(4)地域経済の振興について
地域経済の振興について質問します。地域経済の好循環をつくる起爆剤として具体的には、政府の消費税増税の動向いかんにかかわらず、もともと計画していたプレミアム商品券の3回の発行を速やかに行うべきと考えますがいかがですか。
また、全国100を超える自治体で広がっている店舗リニューアル助成制度ですが、住宅リフォーム助成や空き家対策で困っている人にも使える制度設計にすることを含め、実施に向けた調査研究を行うことを要望します。商工業振興計画策定の論議の中で検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
(5)次に、公契約条例について伺います。
鎌倉市の事業に指定管理制度が導入され次々と市の直営部門が民間指定業者に運営が移されていますが、先の決算特別委員会に置いて、指定管理で働く職員の賃金は把握していないという答弁でした。また、委託業務において最低制限価格制度で契約額が増額すれば、労働者の賃金の原資も増えると答弁されていますが、何の保証もありません。さらに公契約条例の制定についても、鎌倉市だけ公契約条例を制定してもさほど効果はない、法整備等の広域での対応を要望していると答弁されましたが、建設業において、工事の施工単価や労務費の引き下げが建設労働者の賃金や労働条件に悪影響を及ぼしかねないことを認識しているのなら、指定管理も含め、公契約条例を制定すべきと考えますがいかがですか。
鎌倉市における職員数適正化計画及び、会計年度任用職員制度について伺います。
平成11年から作られてきた本市の職員数適正化計画は、平成29年2月に、第4次職員数適正化計画が策定されました。そこには具体的な職員削減の手法として、「業務そのものを民間事業者に委託する手法や業務の担い手を職員以外の者に見直す手法等が考えられます」と書かれています。保育の分野では、児童福祉審議会に初めて職員数適正化計画の資料が示され、市内5カ所の鎌倉市立の拠点園計画が崩されました。そのほか、図書館司書、給食、あおぞら園、保育園、声かけふれあい収集、作業センター、支所業務など、市民に直結した業務が削減の対象として列挙されました。職員を減らしたことを成果と誇る一方で起きていることは、専門職の技術の継承ができない、人手が少なく対応が遅れる、メンタルで休まなければならなくなる職員は県下で1,2を争う多さです。
現在メンタルで休職する職員数や、職場の環境等は、どのようになっているのか、認識を伺います。
国は、正規職員を減らす事を後押しするかのように、地方公務員法改定で、1年任用の「会計年度任用職員」としての非正規職員が制度化されました。
正規職員を前提にしている地方公務員法にもかかわらず職員の非正規化が進み、そのため低賃金、不安定雇用の「官製ワーキングプア」が増え、社会問題になっています。それに加え今回の地方公務員法改定で、さらに問題が深刻化することが懸念されます。
会計年度任用職員には、任用の回数や継続期間に制限がありません。非正規職員であっても公務員だとして、民間に適用されているパート労働法や労働契約法などは適用されません。非正規雇用で5年を超えた場合に無期雇用に転換を申し込める権利も適用されません。何年働いても、非正規雇用のままです。1年任期のため昇給がないどころか、自治体の意向で突然、雇い止めされる恐れが毎年続くことになります。フルタイムかパートタイムかに分けられ、手当で格差がつけられます。
国会の質疑の中では、「法改定の趣旨は、任用の適正化と勤務条件を確保」することや「不利益変更が起こらないようにしていく」という答弁がされています。本市において条例の制定を行おうとするならば、非正規職員に不利益がないよう求めるものです。
具体的には、雇い止めや賃金・労働条件の引き下げなどの不利益変更を行わず、法改正の趣旨に沿うこと、正規職員との「同一労働同一賃金」に向けた自治体の努力を続けること、正規職員と同様の業務を行っている非正規雇用職員を正規化すること、「財政上の制約」を理由としたパートによる短時間勤務の設定は行わず、業務に必要な勤務時間を確保するためにフルタイム勤務が必要な部署については引き続きフルタイムで任用することを求めますが、いかがですか。
2(6)住宅宿泊事業制度(いわゆる民泊問題)について
次に、民泊新法が施行されて半年以上が経過しましたが、いわゆる違法民泊は全国的に相当数ある状態となっています。この間、市内の民泊について、地域の方から何件か騒音や火災の心配などの相談を受け対応してきました。やはり適切なルールが必要です。
昨年、県が条例を制定する際に、鎌倉市は住宅宿泊事業法第18条に規定する一定の制限について、家主不在型・住居専用地域には一定の制限をするという要望を出していましたが、当然の内容です。市から出している要望を県は拒否しているわけですから、きちんと保健所が責任を持って対応しなければなりません。
その点で、市として、住民からの苦情等に県が責任ある対応をしていると認識しているのか、伺います。
今後も県に対して家主不在型・住居専用地域への制限を強く要求するとともに、鎌倉市として独自のルール化に踏みだすことが必要ではないでしょうか。見解を伺います。
3(1)黒潮(くろしお)町(ちょう)(高知県)の取り組みから学んで
次に、大きな項目の三番目、「防災対策の抜本的強化を」求めて伺います。
高知県黒潮町は、東日本大震災後に出された津波想定高が日本一高いことで危機感を深めた町です。このことを契機に、職員と住民が力を合わせた防災の取り組みを本格的に進めています。最大34.4mの津波高推計値を受けて、町長は「町の存続が危ぶまれる」という事態認識を持たれたそうです。そのことが「犠牲者ゼロ」「避難放棄者」を出さないという町の理念につながり、そのためにどうするか、という視点が全ての施策に貫かれています。
なかでも特徴的なのは「職員地域担当制」を導入し、浸水区域の40地区に全職員を分担して、住民とともに取り組む体制整備を行ったことです。職員の約25%は市外居住者ですが、地域事情に詳しい職員と適切に組み合わせるなどして、地域に入って一緒に避難上の地形的・物理的課題を図面に整理するなどして大きく取り組みが進んだとのことです。
鎌倉の実情は地域ごとの差が大きいため、もっと地域に入り住民とともに取り組む姿勢が求められます。すぐに「職員地域担当制」は無理であっても、黒潮町から学んで防災部局の強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
黒潮町は「職員地域担当制」を土台に、ソフト面では、地域毎のワークショップ、避難経路の点検と訓練、戸別の避難カルテづくり、それを手作りの地区別防災計画に実らせ、それらを横串する形で防災教育に力を入れていることが特徴です。
ハード面では、市内に津波避難タワーが6基あり、避難空間として、高台の山に上がる階段も整備されており、住民任せではない責任ある対策が取られていることを実感しました。鎌倉市の現状は、地域間の取り組みの差が激しいだけに、市職員と地域住民が協働する中で、困難地域を含めた具体的な対策を進めることができるのではないでしょうか。
防災・減災の目標は「一人の犠牲者も出さない」ことであるはずです。津波避難困難地域を抱える鎌倉市は、まさに黒潮町を見習い、具体的な津波対策を進める必要があります。
その点で、例えば材木座保育園跡地に公的な津波避難施設を整備するよう地域から強い声があがっていますが、具体的な検討を行うべきです。今議会で
提案されている「共生社会の実現を目指す条例」では第6条第3項で「市民が安心した生活ができるような多様性に配慮した社会基盤施設の整備に努めること。」とあり、第7条で「災害等への対応」として「市民及び市内滞在者が行う自らの身体及び生命を守るための行動に対して、多様性に配慮した支援を行う」と規定しています。津波避難困難地域における施設整備は、まさに「共生条例」の精神からも求められると考えますが、責任ある答弁を求めます。
3(2)情報伝達・難聴対策の強化
次に、災害弱者の方などへの防災情報・難聴対策についてです。防災無線だけでなく、多様な情報伝達手段を確保するために一つ、ポケベルが注目されていることを以前に紹介したことがあります。ポケベル電波による端末は建物内での受信に強く、従来の個別受信機に比べて費用が安いこともメリットとして挙げられています。
大和市では4年前に防災行政無線の難聴対策として導入しており、今後、社会福祉施設や学校への整備を進める方針と聞いていますが、鎌倉市でも検討に値する施策ではないかと考えます。いかがでしょうか。
現在おこなっている複数の手段での情報提供の中に、鎌倉のコミュニティーFMである「鎌倉エフエム」がありますが、抱えている課題の一つに難聴(なんちょう)問題があります。アンテナの位置に起因しているため、解決には移設する必要がありますが、役員にもなっている市の援助が必要です。この点で、総務省が「民法ラジオ難聴解消支援事業」という補助制度を設けています。この制度も利用して、適地である野村総研跡地に移設整備できるよう市の支援を強く望むものですが、見解を伺います。
3(3)小学校体育館等への要援護者受け入れ体制の強化
次に、日本の避難所環境は世界基準の「下の下」であり、実は難民避難所よりもレベルが低いということを知って驚きました。鎌倉においても根本的な改善が必要であります。3年前の熊本地震で「災害関連死」と認定された人は昨年4月現在211人おり、これは建物の倒壊など地震の直接の影響で亡くなられた50人の実に4倍以上となっています。
NHKの調査によると、そのうち避難所生活や車中泊を経験した人が95人以上、約45%にのぼりました。「避難所がもう少し良い環境だったら」という声が寄せられたそうです。
災害から難を逃れるために身を寄せた避難所で、命を落とすという深刻な現実に対し、そのような事態を防ぐために作られた国際基準が「スフィア基準」です。この基準は、ルワンダの難民キャンプで多くの人が亡くなられたことを受け、国際赤十字などが20年前に作った“最低限の基準”で、その後、災害避難所にも使われるようになります。災害等の際の避難所の環境について定めています。
例えば1人あたりのスペースは最低3.5平方メートル、トイレは20人に1つの割合で設置し、特に男性と女性の割合は1対3にすることなどが定められ、実際、海外の避難所では、この基準が使われているそうです。ところが、日本では「スフィア基準」が浸透せず、劣悪な環境の避難所が設置され続けているというのです。そうした中、南海トラフ地震の被害が想定される徳島県では一昨年、避難所運営マニュアルに「スフィア基準」を盛り込んだそうです。
鎌倉市においても、急場しのぎの対応を改め、できるだけ質の良い避難所を作る方向で、いっそうの努力が必要です。要援護者・要配慮者の方を受け入れられる体制の構築を含め、「スフィア基準」を取り入れた避難所運営の検討をすべきと考えますが、見解を伺います。
3(4)「一中坂」の崖地対策の実施見通しについて
次に、第一中学校通路の崖地の安全対策については、「危険斜面及び危険木に関する調整会議」の中で検討されていますが、来年度予算に具体的な費用が盛り込まれていません。現在も大変心配される状況であることから、道路崖の上部や法面(のりめん)について県や土地所有者と協議し、早期に結論を出す必要があります。何よりも子どもたちをはじめ、市民に不測の事態が起きないよう来年度の早い時期に対策を具体化するよう強く求めるものですが、いかがでしょうか。
(5)危険ブロック塀等対策事業
次に、危険ブロック塀の安全対策について伺います。津波浸水地域への9割補助は評価するものですが、4メートル幅に満たない道路、いわゆる2項道路における危険ブロック塀対策は、いまだ放置されていると言ってよい状況にあります。セットバックがままならない家屋にある危険ブロック塀について、建て替え時にセットバックをするという確認書を交わしたうえで、耐震補強工事への補助の新設など、一刻も早い安全対策が講じられるよう検討を求めますが、いかがですか。
(6)緊急輸送道路沿いの家屋の耐震補強支援
緊急輸送道路沿いの家屋の耐震補強支援について伺います。
避難路沿道建築物にたいする耐震診断と耐震改修工事は現在、木造住宅だけが補助の対象となっております。緊急輸送道路なだけに、木造だけの補助では防災の視点に欠けるのではないでしょうか。耐震改修促進計画を見直す際に、木造以外の家屋の耐震補強改修工事の新設の検討を求めますが、いかがですか。
(7)私道の安全対策
次に、私道の安全対策について伺います。鎌倉市は、平成28年3月に鎌倉市社会基盤マネジメント計画を策定しています。将来にわたって市民の安全・安心を守り、市民生活を支え続けることを目指すとしていますが、私道に関する維持管理計画については、方針がありません。岩瀬の私道で大きな陥没がありました。せめて陥没しやすい老朽化した下水道管が敷設されている私道について、注意喚起と場合によっては空洞調査をするなど、行政が私道の安全にも気を配る体制を整えてほしいと思いますが、いかがですか。
(8)北鎌倉隧道安全対策
北鎌倉隧道、いわゆる緑の洞門の安全対策について伺います。通行止めになってから、この4月で丸4年です。安全対策工事がいまだに行われていない原因は、いったいどこにあるのでしょうか。早く安全に通行できるようにしてほしいという住民の当たり前の願いにもこたえられないこの責任は、いったい誰にあるのでしょうか。市長が幾度となく住民の前で述べた仮設工事をするという約束も、今年度予算で1億円を計上しておきながら未執行となりました。来年度予算には、工事設計業務の委託料が計上されています。予算計上したのであれば、見通しがあって計上したのか、答弁を求めます。
安全対策工事には、トンネルを含む尾根全体を将来史跡として指定するときに障害にならない工法にすることを要望するものですが、そうした工法が担保されているのか、伺います。
(9)危機管理講座の見直し
危機管理講座について伺います。昨年、本市は平和都市宣言から60年を迎えました。8月6日、広島に原爆が落とされた日に、市主催で市民向け危機管理講座が行われました。ところが、参加した市民から、軍拡をあおるような内容で異様だったという意見が多く寄せられ、驚きました。これは行政が行うことでしょうか。昨年9月議会で市担当は、「行政として地域として一体となった取り組みが減災に資するもの」と答弁しました。市民の生命身体を守ることを第一だというのなら、行政が行う真の危機管理は、災害が多発している日本列島において市民の不安をあおるのではなく、市民を災害から守れる行政の構築と市民力を引き出すことではないでしょうか。平和都市宣言の立場から、危機管理講座の見直しを求めますが、見解を伺います。
(1)ごみ問題における基本的な考え方について
大きな項目の最後となる四番目、「住民の声が届く責任ある行政を」求めて伺います。ごみ問題における基本的考え方について伺います。
市長は10年前の選挙で「箱モノはつくらない」と公約したことに固執し、明確な根拠もなく具体化していた「生ごみのバイオガス化」施設を中止し、名越クリーンセンターの焼却施設延命化、今泉クリーンセンターの焼却施設の廃止と合わせた三位一体計画を自ら崩しました。そして、市民や事業者に分別資源化をいわば丸投げしてきたことが現在に至る混迷の原因となっています。
見直した方針も計画通りには進まず、何度も方針を転換してきました。市民の努力により燃やすごみの削減は進んでいるものの、山崎浄化センター隣地での焼却施設建設計画は住民の反対で事実上頓挫している状況です。現在、逗子市との広域処理に活路を見出そうとしていますが、先行きは全く不透明です。今年度予算案に突然計上した生ごみ減容化施設について、来年度予算は0で何一つ新しい方針がありません。市は鎌倉のごみ処理をどうしようとしているのでしょうか。2月議会に何も示せないのに、3月末までに新たな方針が出るとは思えません。
ごみ問題は市民との信頼関係なくして進みません。多くの市民は鎌倉のごみ処理について、市長の方針が変わることに不信感を抱いているのではないでしょうか。これまでの施策をどのように評価し、教訓を導き出して、市長は安定的なごみ処理について今後の解決策をどのように考えているのか、伺います。
ごみ処理の基本は3R を基本として、地球環境にやさしい持続可能なごみ行政を進めていくことです。何よりも燃やすごみの半分を占める生ごみを全面的に資源化する方策が必要です。試験的に行おうとした生ごみの減容化施設は日量5トン未満で、審議会の答申からも明らかなように、市内の燃やすゴミを安定的に処理する見通しは全くありません。SDGsの精神からも生ごみをエネルギーに変えるバイオガス施設の検討再開を視野に入れていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
4(2)市役所移転問題
次に、市役所移転問題の取り組みについて伺います。昨年11月に市庁舎移転に関する住民投票条例案の審査を行い、今の市長の進め方に対する大きな疑念や不信感が示されました。特に、平成27年3月に神奈川県が公表した最新の津波浸水想定図が明らかになり、新たな知見によって、現在の本庁舎が津波浸水エリアに入っていないことが分かり、市が今まで市民に説明してきた市役所移転の大義が崩れることになりました。
さらに昨年12月議会で、津波浸水想定を市民に配布した最新のマップである「地区別危険箇所マップ(平成28年8月発行)」においても本庁舎は津波浸水区域外となっており、「津波災害リスクが高い」ことを第一の理由として移転が必要とした理由づけは破綻(はたん)したといっても過言ではありません。
現在、移転予定地の深沢整備事業用地が柏尾川の洪水浸水想定区域に入っていることから、本庁舎等整備検討委員会及び深沢地区まちづくり方針実現化検討委員会に防災部会を設置して検討されていますが、現時点でどのような議論がされているのでしょうか。明らかにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
このことに関し、深沢地区まちづくり方針実現化検討委員会の第2回防災部会が1月21日に開催されましたが、場所が早稲田大学・西早稲田キャンパスと知って驚きました。それでも市民の方は10人以上傍聴に行かれました。こんなやり方で、市民の安全について真剣に検討する気があるのか、その姿勢が問われると考えますが、責任ある答弁を求めます。
市役所移転は鎌倉地域と深沢地域をはじめ、単なる再編事業ではなく鎌倉全体のまちづくりの方向性に関わる大問題です。そのため、次の点について改めて見解を求めます。
①移転先の本庁舎整備について、7月に基本構想を策定予定とのことですが、まちづくりの視点からは現在地の整備内容とあわせて一体のものを示さない限り、是非を含め市民の判断は困難と考えます。検討が同時進行になるよう見直すべきですが 、いかがですか。
②整備検討委員会の中で、現在地と移転先の「連携について検討していく必要がある」との意見が出されており、重要と考えます。「現在地には観光課を残したり、全ての機能を移転させなくても良いという考え方もある」との指摘もされています。市長は現在の一階にある窓口機能を一定程度残すと言明されています。そうであれば本庁舎機能の分散化に関する議論を含め、現在地と移転先の機能の位置づけを明確にすべきではないか。この点について、見解を伺います。
③防災面については、「洪水による浸水よりも、大規模な地震・津波による浸水事例のほうが、比較の上で建物や人的被害が甚大と考えられる」という考え方をしていますが、頻度は洪水の方が多いことは明らかではありませんか。これは移転を正当化するための理屈づけに他ならず、こうした認識を改めることなしに、洪水浸水に対するマトモな検討はできないと思いますが、いかがですか。
④将来に禍根を残さないためにも、市民に対する移転の大義を見直し、防災について最新の想定に基づく防災情報を位置づけるなど、一度立ち止まるべきです。そのうえで5地域に協議会を設置するなどして市民とともに再検討すべきと考えますが、見解を伺います。
4(3)おなり子どもの家改修工事
次に、おなり子どもの家改修工事について、旧図書館の耐震診断業務に関する差異の原因等調査報告書が公表されました。昨年6月議会で調査を求めたもので、歴史的建築物の保全と活用に向け、前向きに活かされることを望むものです。問題の中心点である旧図書館の建築物保全について、その歴史的価値を明確に説明していないことが今日の事態につながっていると考えます。
その点について、昨年8月28日に鎌倉市文化財専門委員と現地確認及び意見聴取をした調査文書を入手しました。結論としては、鎌倉市文化財専門委員の先生から明確に「今のままで改修すれば、国登録有形文化財としては、文句なく通る建物である」。さらに、「今の施設の破損状態としては、文化財の保存修理工事を実施している建物からすれば、平均的な破損状態より軽い状態」と述べられています。
問題とされている費用については、そもそも歴史的建築物の保全活用という点から、一般的な建築物の費用と比べるのは適切でありません。そのうえで、県内で唯一の国宝である建築物の修復もされている市内の専門家などから、市が言っている金額より安く施工することは十分に可能である、との明瞭な意見を聞いているところであります。そうした専門家の力も率直に借りて、効率的な事業に取り組むべきです。
旧図書館の建築材を保全して活かし、おなり子どもの家に整備する事業は、鎌倉の歴史的な近現代建築物を保存・修理・活用する初めての事例であり、大局的な判断が求められます。隣の講堂を含め、歴史文化都市として適切な保全活用を求める市民から声があがっています。費用も最大限抑えつつ、鎌倉という特別な場所に相応しく(ふさわしく)後世に活きる取り組みについて、説得力と確信をもった道理ある説明を市民と議会に行うべきですが、責任ある答弁を求めます。
4(4)「大倉幕府跡」包蔵地(ほうぞうち)における開発事業と発掘調査について
次に、「大倉幕府跡」包蔵地にある雪ノ下三丁目の約2千平方メートルの敷地において、地上4階・地下駐車場・33戸のマンション開発計画について、鎌倉市開発手続基準条例の手続に入り、周辺住民等への説明会の後、下水道等の公共公益施設の整備など関係各課と協議が行われてきました。 都市計画法に基づく開発許可後、工事等に関する事業者と近隣住民との話し合いを経て、埋蔵文化財の発掘(はっくつ)調査(ちょうさ)に入る予定でした。
いうまでもなく大倉幕府は、源頼朝が鎌倉に入って最初に居(きょ)を構えた御所であり、本格的な武家政権の発祥地(はっしょうち)として、日本で重要な遺跡であります。当該開発事業地は、大倉幕府に関連する遺跡が発見される可能性があることから十分な調査が必要であり、当該開発用地の基礎等は遺跡よりも深く及ぶため、遺跡の全てを調査すると想定されていました。
市としては、発掘調査にあたって文化財専門委員会の委員など有識者の意見を聞き、県や国とも相談しながら、発見された遺構(いこう)・遺物(いぶつ)の歴史的・学術的な価値を検証し、慎重に判断していきたいとし、事業者に対しても十分な期間と経費を確保した上で慎重かつ詳細な発掘調査を実施することなど必要な要請を行ってきましたが、この度、「開発事業を中断する」との話があったと認識しています。中断の理由を含め、現在の状況と今後の見通しについて伺います。
工事中断後の動向は予断をもって言えませんが、いずれにせよ今後、市としての姿勢が問われます。約2千平方メートルの「大倉幕府跡」包蔵地の発掘は、歴史的・文化的にも、世界遺産登録との関係でも極めて重要です。事業者任せではなく、場合によっては市の責任で実施することを含めて検討し、事業者と交渉するよう提案するものですが、見解を伺います。
4(5)ロードプライシングの基本的な考え方について
次に、鎌倉駅を中心とした鎌倉地域の渋滞対策としてETCやカメラ技術を用いてロードプライシングを実施予定とのことで、来年度に課金を含めた実験を行いたいとしています。ロードプライシングは、シンガポールやロンドンの市街地等で導入されていますが、そもそも都市構造が大きく違います。鎌倉市の場合、逗子市など近隣との調整も必要不可欠で課題が多いのが現状です。竹内市長の時代から課題にあがっていた古くて新しい取り組みですが、どのように考えるべきでしょうか。この施策について知らない市民も多い中で、少なくとも次の点について、市民に明確にするよう求めます。
1.市の説明では、観光客に負担を求めていくものとしています。そうであれば、それ以外の車からは料金を一切徴収しない方法を考えるべきです。例えば三が日の通行に際しては「通行手形」を発行していますが、そうした発想も取り入れ、料金の還付方式など具体的な制度設計を提示すること。
2.車の交通量抑制には、高齢者の適切な免許返納など総合的な取り組みが求められ、その場合、代替施策として先ほど申し上げた高齢者への交通費助成などの検討が必要です。共創計画部に位置づけた以上、まちづくりの課題として総合的に捉え、具体的施策を示すべきですが、見解を伺います。
4(6)鎌倉駅東口前広場整備計画
鎌倉駅東口前の広場は道路の老朽化が酷く(ひどく)、バリアフリーの観点からも整備が必要と訴えてきました。当初はオリンピック開催に間に合わせようとしていた計画が入札不調により遅れ、ようやく施工業者が昨年12月議会で決まりました。来年の秋に完成予定とのことですが、よく見ると現計画では歩道が拡幅される一方で、乗用車の停車スペースが全くないことが分かりました。また、バスの停車スペースも一台分なくなることが分かり、さらに混雑することが容易に推測できます。
歩行者優先の整備は理解しつつも、現実には送り迎えなどで乗用車が駅に入ることは不可避であり、せめて計画の新設「タクシーおりば」と「バスのりば⑤」は入れ替えるべきではないでしょうか。さらに、現在のタクシースペースとバススペースを入れ替えて、バスの乗降スペースを確保するなど、計画の修正が必要ではないでしょうか。
約5億円もかけて、せっかく整備するのですから、みんなから喜ばれるものにしなければなりません。整備後に交通事故が起きては元も子もありませんが、現計画のままではその恐れがあると言わなければなりません。このまま押し通すのか、最小限の修正をして無理のない整備を進めていくのか、見解を伺います。
(7)「共生条例」制定の意義と具体的な意味について
共生条例はお互いを尊重しあい、支えあい、多様性を認め、生涯にわたって安心して自分らしく暮らすことのできる共生社会の実現を目指すとしており、そのための具体的施策をつくることや市の役割、責任が位置付けられたことは意義あることです。
SDGsの精神と重なる「誰ひとり取り残さない政治」、安心して住み続ける鎌倉を目指すための、具体的施策が予算化され、計画に盛り込まれて行くのでしょうか。
市長は条例制定の意義と、どのような鎌倉を目指しているのか、伺います。
共生社会はお互いの違いを認め合い、1人ひとりが大事にされる社会を目指す、生き方の問題であり、地域のありかたにも関わる事です。理念だけでなく、生きたものにしなければ条例制定の意味はありません。
社会的障壁はなにか、合理的な配慮は何か、生き方も考え方も違う人々がどう受けとめ実行していくのか。条例が生きたものとなり、困っている人々に寄り添い、認め合う社会をともに作っていく意識の醸成が必要です。
条例制定にあたって熱心な論議が重ねられましたが、昨年たった5回という短い期間で条例が提案されました。委員の中には、「福祉分野だけでなく全体施策にかかわっていくことが位置付けられた。職員の理解を深めるなど時間をかけて論議することが必要」との声がありましたが、重要な事です。
制定後の具体的運用では、市民への周知、事業者の理解、職員が共生社会について認識を深める取り組みが必要だと思いますが、見解を伺います。
さらに、市民に寄り添った対応や体制整備や予算化につなげるためには、今後作成予定の地域福祉計画への反映など、共生条例を理念だけでなく生きた取り組みにするよう求めますが、見解を伺います。
市長は予算提案説明において、大久保利通の言葉を引用し、新しい時代を切り拓くため、様々な困難にぶつかっても決して逃げることなく、事業を成し遂げるために行動し続けるといいました。新しい時代ってどういう時代ですか。どんな困難が予想されるのですか。
市長は新しい時代を切り拓くといいますが、ごみ問題はじめ、市政の行き詰まりのすべては松尾市長が原因を作り出したものではありませんか。決して逃げることなく、自らつくった困難や混乱は一刻も早く、解決する責任があるのではないですか。新しい時代を切り拓くという前に、目の前の懸案を一刻も早く解決ですべきではないですか。厳しいことを言うようですが、地に足がついていないのではないですか。
地道に、一歩一歩、市民や職員の声に耳を傾け、1人ひとりに寄り添った、福祉くらし優先の取り組みこそ、SDGs「だれひとり取り残さない政治」であり、共生社会の精神でありませんか。こういう取り組みこそ、持続可能な市民が安心して暮らし続けられる鎌倉のまちづくりであることを申し上げ、登壇しての質問を終わります。