「文化財的価値があり、史跡指定にむけ努力を」と、文化財専門委員会から意見をつけられた松尾市長は、開掘方針に固執したことの反省もないまま、今度は教育委員会の固有の事務である文化財保護の業務を、市長の下に置き、観光商工課の観光業務と一緒にして、「歴史文化観光部」を新設すると議会に提案しました。
政治的中立性・継続性・安定性は、文化財保護の大前提
質問に立った赤松議員は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」で「文化財の保護に関する事務は教育委員会の職務権限であり、条例によって特例的に認めるものからも『文化財保護に関することを除く』となっている」と指摘し、法の趣旨に反すると厳しく指摘しました。
文化財課の議論もなしの上からのおしつけ提案
文化財は、開発事業や土木工事などで、事業進捗の障害物にされることがよくあります。
それだけに文化財保護を担う職員には高い専門性、技術的力量が求められ、また文化財保護部門の組織自体が政治的中立性を担保するために、市長から独立した教育委員会の事務になっているのです。
それほど重大な事が、現にこれを担っている部署で一度も話し合いがされていないことなどまったく論外です。
市長「専門家の意見を聞く考えはない」
赤松議員は、「世界遺産登録にむけた取り組みの中で、大勢の学者・研究者の方々にお世話になっており、こうした専門の方々の意見は伺ったのか」と質したのに対し、「聞いておりません」と答弁。「あらためて聞くべきではないか」とせまりましたが、「その考えはない」と拒否しました。
こうした赤松議員の発言をもとに、その後、教育子ども未来、観光厚生常任委員会でも論議された中で、市長提案に厳しい意見が続出しました。
こうした中で、20日(火)市長から議案の取り下げが表明されました。
今後市長がどう対応するか未知ですが、「観光振興」は組織の問題ではなく、真の連携こそ大切で、発掘調査体制の強化、地下遺跡の見える化、保存、活用の独自の取り組みの強化に努力して行きたいと思います。