2015年7月1日、6月議会定例会最終日について 陳情に対する共産党の考え方をお知らせします。(赤松議員が討論しました。合わせて市民ニュース7,8月号もご覧ください。)
陳情第10号について日本共産党を代表して意見を申し上げます。
本件陳情は、6月定例会の同僚議員の一般質問で、御成小学校の旧講堂の屋根材にアスベスト含有のスレート材が使用されていることをめぐり質疑が行われたことがきっかけとなって提出されたものと思われますが、率直に申し上げて、この陳情提起には、唐突感をぬぐい去ることができません。
さらに、「陳情の理由」に述べているいくつかの点のついては、事実誤認が見受けられることから、我党は慎重に対応する意味で継続審査にすべきものと考えておりました。
しかし、唯今の委員長報告は不採決との結論でありました。
陳情の願意はまず、早急にアスベストの飛散防止対策を講じた上で講堂を保存してほしいというものですが、本会議または委員会での質疑を通じ、次のことが明らかになったと思います。
①スベストが屋根のスレートの原料として使われているが、アスベストが単独で存在するのでなく素材として完全に封じ込められていること。
②3月に出された講堂の現状調査の報告書では「解体工事に際しては、飛散防止対策として借り囲いなど、粉じんの飛散防止の細心の注意をすべき」と、解体工事に特記していること。
③さらに、念には念を入れる立場から講堂周辺の土壌調査と大気調査の実施を約束していること。
以上のことから、アスベスト対策はそれ自体を単独の問題としてとりあげても問題解決にはつながらず、市長が本会議で「講堂を今後どうするかについて夏休みまでに方針を決める」と約束した通り、講堂のあり方の方針をまず決めること、その具体化の中で一体的に処置すべき問題であって、今ただちに「除去」ということではないと考えるものであります。しかも、あと2週間ほどの目の前の話であります。
先程、陳情の理由に「事実誤認がある」と述べましたが、旧講堂の今後の在り方にも拘る大事な点ですので正確にしておきたいと思います
まず、御成小旧講堂が「校舎建て替えの際取り壊しが検討されたが鎌倉時代の遺跡が地下にあったことから取り壊しをまぬがれた」、また、「世界遺産の登録を市が申請した折には、ここをゲストハウスにするとの構想が持ち上がりました」とあります。
ゲストハウス云々については、平成24年4月に発表された後期実施計画で「世界遺産ガイダンス施設の設置」を「御成小旧講堂の保存、活用を視野に入れ作業をすすめます」として24年度から27年度の4カ年の実施計画として決定していたのであります。この時、たまたまセンチュリー財団から無償で建物の寄贈と10億円の寄付付きの申し入れを受け、28年度の歴史文化交流センター開設の運びとなっていますが、当初計画は旧講堂の活用を予定し、約8億円相当を見込んでいたのであります。
次に「校舎建て替え時に取り壊しが決まっていた」についてですが、御成小学校改築に先立つ発掘調査によって、頼朝以前の鎌倉の古代の歴史、さらには中世の歴史の見直しをせまる極めて重要な遺構が相次いで発見されました。しかし、市と教育委員会は当初計画に固執して鉄筋3階建て、100本の基礎グイを打つ計画をすすめようとしたのに対し、文化財専門委員会の9名全員がこれに抗議して総辞職するという事態となり、文化庁をまきこんで大混乱となったのであります。
この時平成4年9月定例会の開会日であります初日の一般質問で、私自身このテーマで質問に立ったのを鮮明に覚えていますが、議会は空転し約1か月にわたる闘いと関係機関の努力や議会の良識のもとで、この遺構破壊の計画は撤回されました。その後、6年をかけ遺構と両立した現校舎が完成したのであります。
旧講堂の保存は文化財問題が根底にあったのは事実ですが、直接的には「木造校舎、木の文化、木のぬくもりを子ども達に」との議論が広がっており、日本建築学会からも高い評価とともに保存を求める市民の運動も広がっていました。
その後、紆余曲折はありましたが、木造を基調としたものにするのと合せ「旧講堂を保存・活用する」ことが改築計画の中に位置づけられたのであります。
私はこの3月にまとめられた調査報告書の総合所見と、今後の方針の指導に注目する必要があると思います。
現校舎が手ぜまになり、特別教室も不足している現状を打開する上で旧講堂をガイダンス施設でないものの、教育の場に再生することが重要ではないでしょうか。
いま、歴史まちづくり法による計画がかなり煮詰まりつつあるなか、その中にこの課題をくみ入れ国の認証が得られれば、通常の交付金より有利な財政支援も得られることから、市長が夏休み前までに決めるとしている方針の中に、こうした視点も思いめぐらし、市民も議会も納得できる方針を出される様お願いして討論を終わります。