「市職員給与の削減を求める決議」が3月28日、議会最終日に提案されました。
共産党市議団は下記の理由により決議に反対しました。
決議によれば平成25年度地方交付団体に陥り、給与暫定削減を実施した時点と環境が変わり、財政的にはさらに厳しさが増している現状としていますが、そうでしょうか。
地方交付税交付団体になるか否かは、財政力指数が1未満か1以上かによって判定されます。財政力指数は総務省が毎年作成する基準財政収入額を基準財政需要額で除したものですが、年によって基準財政需要額の積算の仕方は変化しており、このことによって財政力指数は変わってくるものです。また、財政力指数は指標であって、各自治体の財政状況や実態そのものを表すものではありません。
したがって、交付団体になったことで、平成25年度急激に財政状況が悪化したとする見方は事実と異なることは明瞭です。
国が示す各種財政指数においても鎌倉市は健全であることは明らかです。
労使合意では暫定削減開始から2年後の取り扱いについては別途協議すると聞いています。また、新たな人事給与制度見直しは本年1月末に提案されたばかりで、労使協議はこれからという段階と聞いています。
したがって、予算編成時においては、平成26年8月以降の職員給与の取り扱いについては、暫定削減がされていない状態の予算になることは当然です。
決議によれば本年8月以降、従前の給与に戻ると職員給与は全国地方自治体の全国最上位ランクになるとのことですが、現在の暫定削減開始前3年間のラスパイレス指数の推移は30位台であり、「最上位」という順位ではありません。また、湘南各市の平均給与月額においては高い水準ではないと聞いています。市民生活を守るため、他の自治体には余り例を見ない2年間、平均7.75%年収減という職員自らの身を大幅に削る決断をしてきたこの間の暫定削減での財政貢献にこそ目を向けるべきではないでしょうか。
職員の給与制度は、そのあり方によっては、職員全体のモチベーションに関わり、そのことは結果として市民に大きな影響を与えるものであり、その点から考えても、労使間協議の行方を見守ることが適切といえます。
そもそも、多岐にわたる行政需要の高まりに対して、財政が不足しているという現状について考えた時に、基本的に必要なことは、自治体財政の拡充であり、その基幹をなす政策は税財政制度を住民本位に改善していくことにほかなりません。
市職員はどうあるべきか。
住民の生活の場である市町村にとって「住民福祉の向上」という自治体の本旨に真に責任を持ち、住民に奉仕するという立場が必要です。
正規職員の削減が行われていますが、行政の仕事は増え続けており、むしろ、パート職員などの増加で物件費は増加しています。サービス残業の増加や、メンタルヘルスで休業を余儀なくされている事態も広がっています。
地方財政計画総額は過去10年余で7兆円も減少しており、今後も減少が危ぶまれます。このような状況を改善するために必要なのは、「住民の福祉の向上」のため、自治体としての政策や提言を職員が市民と共に考え、国や関係機関に強く働きかけることが望まれます。このようなことがない中で、縮小傾向の財政の中だけでの工夫ということだけでは、行政サービスを享受すべき市民も、行政サービスの提供者である市職員も疲弊し、結果として市民サービスの低下という悪循環に陥ることになります。
何よりも民主主義を尊重すべき市議会は、労使間自治を守り、法に基づく労使間協議を見守ることが原則です。したがって、市議会が圧力をかけることは適切ではありません。