市議団を代表して、高野議員が行いました
日本共産党鎌倉市議団を代表して、市長が提案されている令和6年度鎌倉市一般会計予算他21議案について質問を行います。最後の会派となりますが、理事者の明快な答弁をお願いいたします。
1.今こそ一人ひとりに寄りそった市民の声が届く鎌倉市政を
(1)雇用の改善・非正規雇用の正規化へ転換を
日本社会における「失われた30年」は、日本の経済停滞と暮らしの疲弊をもたらしました。消費税のたび重なる増税の一方で、大企業優遇の法人税を減税し、社会保障の削減で、生活と人権が踏みにじられています。とりわけ非正規雇用の不安定雇用は30代から50代の働く世代を直撃し、賃金の上がらない国、子どもを産みづらい国となりました。貧困と格差の拡大をこれ以上放置するわけにはいきません。
新自由主義経済政策の抜本的転換がどうしても必要です。世界的なエネルギー価格の高騰や金融危機をきっかけに、人々の資本主義に対する信頼が揺らぎ始め、国民の不平等感が誰の目にも見えるようになりました。
海外に目を向ければ、アメリカでは昨年、俳優や脚本家たちによる63年ぶりの同時ストが行われたり、全米自動車労組による初の一斉ストライキが行われたりしました。ドイツでは全土で鉄道・バス会社や空港、港湾で働く労働者らが物価上昇に見合う賃上げを求めて1992年以来最大規模のストライキが行われました。イギリスでも過去30年間で最大規模のストライキが行われています。
日本では昨年、全国124カ所の国立病院で、病院の機能強化と大幅増員を求めて31年ぶりとなるストライキが行われ、西武・そごうデパートでも「買収方針撤回」を求めるストライキが行われました。県内でも、東海大教職員組合が10年以上も据え置かれている基本給アップを求め、授業時間に配慮したうえでストライキが行われ、少なくない学生も応援されたということです。
ストライキは憲法に保障された労働者の権利であり、働く人々の生活と権利をまもるために、働く人々を本当に大切にする日本社会の構築が改めて求められています。
そうした中で、公務労働者の非正規雇用も全国的に増加し、格差が広がっていますが、公務員のストライキは法律で禁止されています。そうであれば、なおのこと公務労働をきちんと捉えた雇用政策が、行政として必要ではないでしょうか。具体的なことは、後ほど幾つか取りあげますが、まず認識を伺います。
全国の地方自治体では、正規職員が15年間で28万人減り、逆に非正規職員が24万人増えました。さらに非正規職員の75%が年収250万円以下であり、時給の比較では正規職員の43%で、基本給のところでの大きな格差は残ったままです。新自由主義の「行革」は公共の役割を縮小し、公務員の削減と非正規化、民間委託を進め、低賃金の「官製ワーキングプア」を生んできたのです。
そうした中、愛知県みよし市では昇給のない会計年度職員の時給を新年度から9.5%引き上げ処遇改善を図ることと、正規職員の比率を増やすとのことです。
公務労働者を守れる雇用政策が、行政として必要ではないですか。
鎌倉市においては、非正規の全体の割合は44%、そのうち保育士は53%、図書館職員は62%で、専門性や継続性が求められる職種ほど、非正規率が高くなっています。その他、市民健康課、介護保険課、文化財課、小・中学校の専門業務がある職場、市民課の窓口職場などで、会計年度任用職員が多く雇用されています。職員のメンタルに関わる病気も増えていると聞いています。
正規職員を増やし適正な配置ができるよう、雇用政策として格差の是正を図る観点から今後、「職員数適正化計画」の適切な見直しを求めますが、見解を伺います。
(2)ケアラーなどへの包括的・重層的支援に必要な体制の強化を
次に、困難にある一人ひとりに寄りそうという点で、「くらしと福祉の相談窓口」や包括的・重層的支援を一層充実していく観点から、今議会に提案された「鎌倉市ケアラー支援条例」案はとても重要と認識しています。
特に、具体的な支援として、アウトリーチによる困難にあるケアラーの発見や相談・伴走型支援に必要な人員を専門的に配置することが実効性をあげるうえで重要と思います。
包括的・重層的支援の充実を図るためにも、事業の委託先だけでなく、市の福祉窓口に対応可能な専門職を配置し、連携していくことが必要と考えますが、条例提案にあたって、この点をどのように考えているのか、伺います。
(3)ジェンダー平等プランの促進を・困難を抱える女性への支援
現在の日本は、非正規雇用の7割が女性であり、男女賃金格差の大きな要因になっていて、ジェンダー平等の支障になっています。
世論と運動によって、女性活躍推進法に基づく男女の賃金格差の公表を企業に義務付けられることになりました。格差是正に向けた重要な一歩です。情報公開も力にして、男女の賃金格差是正に本格的に取り組むときです。
では、鎌倉市の職員の男女の賃金格差はどうなっているでしょうか。正規職員は全体で約1300人の職員が働いていますが、そのうち女性は約33%です。一方、非正規職員は約8割が女性です。特に、非正規の専門職員には女性が多く、男女賃金格差の大きな要因になっています。構造的な問題とはいえ、結果として公務労働のジェンダー平等も遅れているといえます。
「かまくらジェンダー平等プラン」には、「性別に関わりなくその個性と能力を十分に発揮できる社会を一層推進する」と書かれていますが、会計年度任用職員において、公務労働の多くを女性の非正規公務員が担うことを固定化する役割を果たしています。
まずは率先して市職員の管理職総数に対する女性の割合や審議会等への女性委員の登用を増やすことなどを改めて求めるものですが、現在の取り組み状況とあわせて伺います。
また、依然として女性の負担が大きい子育てや介護分野での支援も欠かせません。待機児の多い保育園や待機者が多い介護関連施設の増設はジェンダー平等の視点からも求められていると思いますが、いかがでしょうか。ジェンダー平等の視点からの答弁を求めます。
さて、2022年5月に、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が制定されました。それまでの「売春防止法」では問題解決ができない性暴力、生活困窮などの女性をめぐるさまざまな困難から女性たちを支援する制度として、今年4月から施行されます。
神奈川県では「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律」と一体にした計画の素案が公表され、パブリックコメントを経て今年度末に計画が策定されます。
鎌倉市においては、令和4年12月の一般質問の中で、「都道府県基本計画の策定を待って、必要となる体制などを検討していきたいと考えております。」と答弁していますが、その後、どのような体制を検討されていますか。今後のスケジュールとあわせて伺います。
困難を抱える女性のうち若年層には、児童福祉法も虐待防止法も該当しないケースが多いことも特徴です。児童養護施設も過去の入所歴がなければ頼れない。シェルターは結婚していて配偶者から身体的な暴力、見える暴力がなければ入れない。若年妊娠など支援を求めることができない特定妊婦、両親からの金銭的・精神的な暴力、性暴力から親元を離れたい若い女性、家を出て一人暮らしをしている大学生が生活保護を利用するには学業を諦めて働くか、夜間学校に行くしか受給できないなど、困難を抱えています。
鎌倉市では、DV被害者ご本人からの相談は年間100件以上寄せられています。家族からの虐待や特定妊婦など困難を抱える方への支援は、個々のケースによって具体的に行われる必要があります。
女性支援法の施行に伴う計画策定によって、さらなる充実が図られるのでしょうか。現在の取り組みとあわせて伺います。
とりわけ、市と民間支援団体等との協働は欠かせません。支援法には、「国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする」とあります。支援の質の向上のためには、財政的裏付けがどうしても必要です。支援団体への補助金の増額などを求めるものですが、いかがでしょうか。
(4)指定管理者制度の改善、芸術館運営への支援について
次に、指定管理者制度が導入されて20年が経ちました。市民や利用者に資する運営を確保するため、いま見直しが求められているのではないでしょうか。具体例として、昨年10月24日付の日経新聞に掲載された「指定管理者制度20年の功罪」から紹介します。鎌倉芸術館について、次のような記事が掲載されました。
『応募団体ゼロ――。神奈川県鎌倉市の鎌倉芸術館で、2021年夏に衝撃が走った。3期15年間にわたり指定管理者をつとめたサントリー・パブリシティ・サービス(SPS)が22年度からの応募に応じず、さらに他団体の応募もない状況に陥ったからだ。
市は急きょ、制度導入前に同館を運営していた同市芸術文化振興財団に依頼。なんとか空白を免れたが、地域の文化振興の継続性・安定性において、指定管理者制度のもろさが明らかになった。
同館は1993年に開館した。同財団の運営で、作詞家のなかにし礼氏の台本・演出による創作オペラや在京5楽団の連続公演など、自主企画で注目を集めた。SPSは06年以降、サントリーホールで培った音楽の専門性と効率性を武器に指定管理を勝ち取ってきた。
撤退の背景には、財政負担や事業方針で市とSPSの間に齟齬があったことが伺える。SPS担当者は「コロナ禍で収入が激減、燃料費高騰でさらに収支がひっ迫した。補てんを再三お願いしたが、かなわなかった」。一方、市文化課は「公募時点では前回と同じ2億円のまま。応募ゼロは想定外だった」。
22年度の公募要項では市民参加の舞台創作やギャラリー活用など、地域密着を打ち出していた。…鎌倉市には文化政策の方針を定めた条例がなく、ホールの方向性を明示せず、議論を重ねないままの変更だった。』という内容であります。
端的にいえば、サントリーほどの大企業であっても「補てんを再三お願いしたがかなわなかった」ことが撤退の理由で、その根底には市の文化行政に対する不信感があったことを受け流して良いのでしょうか。指定管理者制度では、長い目で地域の文化を育てる姿勢が生まれにくい、とも記事では指摘されていますが、現在でも相当苦労して運営している現状があると認識しています。
そこで、いま取りあげた芸術館をはじめ、指定管理料について、現在の社会状況を踏まえた適切な見直しを図ることなど、記事でも指摘された継続性や安定性の保障を求めるものですが、答弁を求めます。
同時に、指定管理者制度の運用改善は現在、市内の他の指定管理事業者で交渉事案となっている雇用問題の防止や解決にもつながり、総じて市民生活に資する指定管理者制度の今後にとって、必要不可欠であると考えますが、前向きな答弁を求めます。
(5)郷土芸能の普及促進のために
次に、市内には、神奈川県の無形民俗指定文化財である「御霊(ごりょう)神社の面(めん)掛(かけ)行列」、鎌倉市の指定文化財である「鎌倉木遣(きやり)唄」、「鎌倉神楽」など郷土芸能が保存・継承されています。私が住む材木座地域でも祭事や新年会などで天王唄が披露され、若い世代の担い手も増えてきていると聞いておりますが、一方で、鎌倉市郷土芸能保存協会の主要事業である郷土芸能大会の参加団体が加盟団体の半数に満たないなど、課題も顕在化していると伺っております。
民俗文化財の保存・継承は鎌倉の文化にとって大切なことであり、市としても、その普及・啓発により力を入れる必要があるのではないでしょうか。市が一団体に育成費として支出している金額は適切なのか、郷土芸能大会に今より多くの方々に参加していただけるよう会場設定や来賓案内、PRなど改善の余地はないか。また、市の関連行事や市内の主要なイベントに出演していただくような仕掛けなど、幾つか考えられます。ぜひ、改善の方向で取り組んでいただきたいのですが、伺います。
(6)生涯学習センターにおける利用時間区分の再変更を速やかに
次に、生涯学習センターの利用時間区分の再変更についてです。やはり利用時間区分の変更によって、利用しづらくなったという声が多数でています。このことは、議会にも報告された利用者団体のアンケート結果からも明らかです。
そのため、教育委員会は利用時間区分の再変更にむけ、新年度にかけて再検討を行う旨、すでに言明されていますが、不便な状況を解消するため、早期の再変更を強く求めるものです。基本的な考え方と具体的な見通しを伺います。
なお、この問題に関して、苦言を申し述べるものです。令和3年12月議会に、鎌倉市生涯学習センター条例の一部を改正する条例が提案され、多くの市民や団体から心配の声があがるなか、1票差で可決されました。翌、令和4年予算議会でも議論となった結果、多くの反対の声を受け3区分に戻す議員提案による修正条例を多数で可決しました。議会のそうした判断にも関わらず、その4日後に教育委員会臨時会をなぜか秘密会で行い、最終的には市長の再議という強硬的な手段に至ったのです。
こうした経過は今後の教訓にしなければなりません。かつて、御成小学校の改築問題で、平成4年当時の市政は、文化財専門委員会からの意見具申や遺跡の保全を求める議員や市民の声を聞かず、教育委員会臨時会を開催して改築計画の推進を再確認。同年9月議会に工事の関連議案を提出するも、議会で当時の教育長答弁が虚偽であったことなどが大問題となり、議案の取り下げに至りました。結果、遺跡の保全と両立した改築となったわけであります。内容こそ違えど、経過をみると似た面があると思います。こうした事態を今後、繰り返さないよう市の認識を伺います。
2.公共施設再編計画等を適切に見直し、福祉・子育て等に力を入れた鎌倉市政を
(1)市役所本庁舎整備事業と現在地利活用の今後について
次に、鎌倉のまちと市政の大きな方向性に関わる問題として、本庁舎整備事業についてです。この問題は単に現在の本庁舎を深沢地域に移転するのが是か非か、という問題ではなく、多くの公共施設で老朽化が進む中、周辺施設を含む適切な再編の中で問われるべき課題であることを市民の皆さんにお伝えしてきました。
行政が移転先としている深沢事業用地への新庁舎等整備基本計画は2022年9月末に策定され、次の12月議会で市長は市役所の位置を定める条例改正案を提出。結果は特別多数議決に達せず否決となりました。
特に鎌倉地域における行政機能について、中世はもちろん、古代において郡衙(ぐんが)を示す遺跡が御成で発掘されていることからも、やはり特別な位置づけが必要であり、全面的な移転には明確に反対してきました。
一方で、現在の本庁舎を改修して、そのまま使っていけば良い、という考え方については、それが将来にわたる鎌倉地域の公共施設全体の整備と整合性が図られるのであれば選択肢として考えられます。しかし、現実として利用可能な公共用地の状況をみると、合理性のある施設範囲を前提としたうえで、再編整備自体を否定することはできないと判断しています。それが責任ある態度であると考えるものです。
したがって、完全な移転ではなく、御成現在地における鎌倉地域住民の利便性が十分に確保される行政機能を明確に担保すること。そのためにも単なる支所以上ではなく、鎌倉地域の歴史的な意義も踏まえ、本庁舎に準じた位置づけを明確に行うこと。さらに、民間機能よりも公共機能を優先した検討を行うこと、深沢地域と鎌倉地域における交通問題の課題解決にむけた具体的な取り組みや市民の声を十分に反映した図書館整備の取り組みなどを求めてきました。
そうした点について、意見募集・パブリックコメントを実施した市庁舎現在地利活用基本計画(案)にどのように反映されているのか。条例否決後、約1年が経つ中で、市民からの意見や思いを十分反映した内容といえるのか、答弁願います。
私は2020年12月議会で、市役所移転に関する住民投票条例案を同僚議員とともに議員提案しました。当時、可決には至りませんでしたが、あれから3年以上が経ち、今後、鎌倉のために適切な再編の中で、特に本庁舎整備等の方向について、より良い着地点はどこにあるのでしょうか。仮に、市庁舎現在地利活用基本計画が策定されれば、本庁舎移転に関する行政計画はそろうことになります。
そこで改めて申し上げます。この問題の解決には、議会での「位置条例」議決の前に、主権者である鎌倉市民を信頼し、直接的に計画の賛否を問う必要がどうしてもあるのではないでしょうか。その結果は当然、尊重すべきであり、直接、市民の声を住民投票の形で聞き、そのうえで行政、そして議会として最終判断する。事業規模からいっても、それに値するだけの極めて大きな課題であると考えます。今後の市政の方向性に関わる問題であり、市長としての見解を伺います。
(2)村岡新駅問題と深沢地域整備事業について
次に、「村岡・深沢地区土地区画整理事業」は、昨年10月30日付で国交省から事業認可がおり、新駅設置と連携した両市一体施行の大規模なまちづくりが本格的に開始されることになります。
新駅の設置費用は昨年12月議会への報告で詳細設計速報値として150億円から159億円と物価高騰等の影響で9億円増となりましたが、今後さらに上昇する可能性は否定できません。
工事施工者であるJRの負担は15%であり、設計費用の大部分は税金にも関わらず、なぜ9億円増えたのか、成果物となる設計の詳細資料を明らかにするよう私自身、求めてきましたが、今もなお明らかにされていません。委託でも同様ですが、「成果物」そのものを確認・検証できないのであれば、そもそも公共工事としての根幹が問われるのではありませんか。JR東日本に対し、市としてどのように対応し、求めているのか。率直に伺います。
深沢事業用地における土地区画整理事業は、村岡新駅と一体施行でありますが、「区画整理保留地処分金」のうち、37億円を新駅の建設費に充てるとしています。なぜ鎌倉市から400メートル離れた市外につくる駅の建設に保留地処分金を充当しなければならないのでしょうか。本来なら、深沢の土地を売却して得られたお金は、直接的に深沢のために使われなければならないはずです。
新駅の税負担に対する市民の批判が高まる中で、「一体施行」と駅の建設を位置づけることにより、税金負担が少なく見えるような手法を「捻り(ひねり)だした」わけですが、保留地の売却が思惑通りに進まなければ税金負担になることは、予算案に債務負担行為が設定されたことから明らかです。おかしいのではありませんか。答弁願います。
それから、村岡新駅ができると市の税収が増えるから、鎌倉市民にとって有益であると説明しています。しかし、増収するとしている16億円のうち、実に11億円は新駅から2キロ圏内の鎌倉市民に対する市県民税と都市計画税の負担増によるものです。それでもなお、有益であるというなら、実際に新駅を利用する市民がかなりいなければなりませんが、モノレール湘南深沢駅や町屋駅、そしてJR大船駅に近い地域の方々が本当に新駅を利用するでしょうか。
結局のところ、税金の負担が増えるだけではありませんか。このことについての見解を求めます。
新年度は、新駅建設の具体的な準備に入る年になりますが、一度事業に踏み出せば、後戻りはなかなか困難です。本当に村岡新駅と一体の区画整理事業で良いのでしょうか。新駅建設費用について、偶然なのか、そうでないのか、成果物をきちんと確認できないので分かりませんが、かつて判断基準としてきた160億円に事実上、匹敵する建設費となり、恐らくは160億を超えるでしょう。
そうであれば、新駅との「一体施行」は見直す政治判断を行政長として行うべきではありませんか。後戻りできなくなる前に。責任ある答弁を求めます。
そのうえで、シンボル橋について伺います。
柏尾川にかかるシンボル橋の建設費用は15億円としていますが、物価高騰により建設費が上がることは容易に想像できます。藤沢市側でのシンボル道路整備との関係によるものですが、地権者の合意が現時点では得られていないと藤沢市側の関係者から伺いました。
先の本会議の一般質問においても曖昧な答弁でしたが、シンボル道路整備の見通しがはっきりしないまま,シンボル橋の建設に取りかかることは事業の整合性としてありえないと考えます。この点について、見解を伺います。
(3)公共施設再編計画の見直しについて
次に、公共施設の再編は、今だけでなく将来にわたる鎌倉の「まち」の有り様としても、極めて重要な課題です。同時に、「数値目標ありき」で施設の「削減ありき」の計画は市民生活との関係からも現実的でなく、この間、計画とは異なる状況や見通しが生じてきました。この計画を適切な形で見直す必要があり、昨年12月議会で主な改定の内容が示されました。そこで伺います。
計画の見直しは「時点修正」だけにとどまりませんが、いつまでに行う予定なのか。また、見直しに際して市民からの意見や声を聞く考えはないのでしょうか。
再編方針に関して、「施設規模や敷地面積を考慮して、集約・複合化が可能な場合は、地域拠点校にこだわらず、柔軟に再編を進める」とのことですが、「こだわらない」としたことは評価するものです。そのうえで、地域拠点校における集約・複合化は、あくまで教育環境の整備という学校の事情を最優先にして複合化の条件が合う場合には考え、そうでない場合は行わないということでしょうか。見直しの具体的な考え方をお伺いします。
策定予定である学校整備計画との整合性を図ることは当然ですが、長寿命化や大規模改修の視点は学校だけに留まるものではないと考えます。無理のない再編計画にするうえで、方針として明確に位置づけるべきと考えますが、いかがですか。
新年度に入ってから、特に問題が顕在化するのは、総合体育館・総合グラウンドを深沢地域で整備することに伴う大船体育館と鎌倉体育館の廃止問題です。本当に一カ所に集約するのが適切でしょうか。高齢化社会のなかで、健康づくりの促進という視点からも、5地域にまでとは言いませんが、大船と鎌倉、そして深沢の3拠点に位置づけて、新たな整備と既存体育館のメンテナンスに取り組むべきではないでしょうか。この点も今から見直しの対象にすべきと考えますが、見解を伺います。
本庁舎整備に関しては先ほども申し上げましたが、事実上、最大行政区にある大船消防署を本当に移転させて良いのでしょうか。深沢消防出張所の移転による複合化に留め、大船消防署は大船駅に近い現在地にきちんと位置づけるべきではありませんか。伺います。
再編問題の最後になりますが、鎌倉消防署の移転についてです。能登半島大震災の緊急消防援助隊として鎌倉からも出動されましたが、改めて消防士を含む体制の充実が大切なことを実感しています。鎌倉では国の基準を上回る二署体制で、今日まで消防を運営しており、市民的なコンセンサスを得ています。
いま雪ノ下地域に予定している鎌倉消防署の移転についても、実質的な二署体制として人員等がきちんと担保されるよう取り組み、住民理解を得る必要がありますが、見通しはいかがでしょうか。
また、仮に移転した場合の消防署「跡地」には津波等避難施設を整備するよう改めて要求するものですが、今後の取り組みを含め、見解を伺います。
(4)介護保険について
次に、第9期介護保険事業計画に関連して伺います。
第9期の保険料では基金から13億円の取崩しを図り、低所得者の軽減や基準保険料を据え置くことは評価するものです。今後も負担に配慮した保険料水準にするため、所得段階の拡大にむけた検討が必要と考えますが、見解を伺います。
施設入所の現状は、要介護3以上に引き上げ、厳しくされましたが、それでもなお待機者の方は2023年4月1日時点で354人と深刻な状況です。入所を申し込んでも入れず、鎌倉の外の自治体の有料老人ホームなどに入所せざるを得ない方が多くおられます。有料老人ホームの入所金は数百万円で、月額利用料も20万以上という現実があります。こうした現状を踏まえ、鎌倉市として利用料軽減制度の検討が必要と考えますが、見解を伺います。
あわせて、さらなる特別養護老人ホームの増設について、明確に方針をもって取り組むよう求めますが、伺います。
第9期介護保険事業計画に関連して、要介護1・2の市町村独自の総合事業への検討や介護利用料の2割負担などが国において検討されてきましたが、見送られました。実態を考えれば当然のことと認識しますが、市としてはどう捉えているか、伺います。
さらに、次期の介護報酬単価改定との関係で、「訪問介護の基本報酬」を大幅に引き下げる方針が出され、ホームヘルパーや民間事業者などから相次いで困惑と抗議の声がだされています。住み慣れた地域で安心して暮らせることが本来、介護保険の目指す包括的ケアであり、なかでも訪問介護は基本的なサービスです。現状は、ケアを支える担い手であるホームヘルパーが不足しており、この点でも改善が必要です。
市として、現状をどのように捉え、今後対応していこうとされているのか、率直に伺います。
(5)国民健康保険事業について
次に、国民健康保険事業は2018年度から県が財政の責任主体となり、鎌倉市は県から示された納付金を納めるようになりました。被用者保険等と違い、世帯割や均等割があり、お子さんが多い世帯ほど保険料が高くなる傾向となっています。また、加入者平均所得は年間200万円以下が6割と低所得者の方が多く、75才以上の方は後期高齢者医療保険に変わるため、加入者が減少しています。
鎌倉市は決算補填目的の一般会計からの法定外繰入金を2022年度と比べ減額したことなどにより、今年度の1人あたり保険料は県内で2番目に高くなっています。
一般会計からの赤字補填に否定的な国の方針があるため、全国的に保険料の負担が増えています。このままで良いのでしょうか。皆保険制度というなら、これ以上の負担増を抑えるための真剣な努力が必要です。市の取り組みを求めるものですが、見解を伺います。
そうした一方、国は2022年4月から、未就学児に係る保険料均等割の半額軽減措置を実施しました。子育て世代の負担軽減の観点から実施したと説明していますが、鎌倉市においても子育て支援の観点から子どもの対象年齢や補助内容の拡大を検討すべきと考えます。いかがでしょうか、見解を伺います。
さて、2月6日の衆院予算委員会で岸田首相は『「異次元の少子化対策」の財源確保のため、公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」の負担額について、支援金総額を1兆円と想定する2028年度の拠出額は、加入者一人当たり月平均500円弱となると見込まれている」』と答弁しました。
少子化対策の財源のためとして、全ての国民に支援金を科すことは、実質的な子育て増税ではないでしょうか。国保の保険料軽減に必要な一般会計からの繰り入れを否定しながら、医療保険料に子育て支援金の負担を強制するというのは、おかしいのではないでしょうか。市としての認識を伺います。
公的医療保険証を廃止し、マイナンバーカードによる受診を事実上強制する法案が昨年可決されました。しかし、取得が任意のマイナンバーカードを保険証代わりにすることは、国民皆保険制度の根幹をゆるがしかねない大問題です。国民の約7割が保険証廃止に反対し、 医療現場でも、マイナ保険証による資格確認には、人手も時間もとられるため、このまま現行の健康保険証廃止を強行すれば、大混乱するのではないかと強く懸念しています。
それにも関わらず、紙の保険証を廃止し、マイナンバー保険証を2024年12月に実施するとのことですが、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」の国家公務員における利用率は、昨年11月時点で国民全体と同水準の4・36%であり、マイナ保険証を所管する厚生労働省でも4・88%にとどまっています。
特に、マイナンバーカードを作成していない市民には「資格確認書」を発行するとのことですが、実際にどうなるのか伺います。
なお、「マイナ保険証」をもっている人でも実際の利用率はわずか4.33%です。そうであれば、被保険者全体に今まで通り保険証を発行すればよいのではありませんか。見解を伺います。
(6)健康づくりについて
次に、介護や医療負担を少なくするためにも、健康づくりの取り組みは重要です。
加齢により難聴になったことにより、会話の機会が減ると、認知症等が増加するとも指摘されています。そうした状況を踏まえ、軽度や中度程度の難聴で希望される方に対し、補聴器補助を行う自治体は239自治体になり、この1年で倍増しています。
県内でも相模原市の取り組みなどを踏まえ、聞こえ健診や補聴器補助を検討し、行うよう求めてきましたが、市の見解を伺います。
それから失明の原因の1位は緑内症です。視野が欠損していても、両目で補うため、欠損に気づかないまま進行する病気であり、一度欠損した視野は元に戻りません。早い方で30代頃から欠損が始まるとのことです。しかし、早い段階での治療により、進行を遅らせることができるため、検診の実施が必要です。
そこでまずは鎌倉市医師会と協議し、一日も早い実施を期待するものですが、いかがでしょうか。前向きな答弁を求めます。
日本人の90%以上は、子どものときにかかった水ぼうそうの「水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス」が体内(神経節)に潜伏しています。加齢や疲労、ストレスによる免疫力の低下で、80歳までの間に3人に一人が帯状疱疹を発症しています。50代以降に発症した人のうちの2割は、治ってからも辛い痛みが3か月以上続く帯状疱疹後神経痛になっているとのことです。
また、頭部や顔面に帯状疱疹がでた場合、視力の低下や失明、顔面神経麻痺など重い後遺症が残る可能性があります。
帯状疱疹ワクチンを打つことにより、発症を抑える効果があります。不活性ワクチンで1回2万円から3万円を2回、生ワクチンで8000円程度を1回ということで、高額です。
市議会として国に対し、補助制度の意見書を提出していますが、市として独自補助を検討するよう求めるものです。見解を伺います。
(7)高齢者への交通費補助制度について
現在、鎌倉市は令和6年から8年度までの高齢者保健福祉計画の策定にむけてパブリックコメントを行い、3月末で計画策定予定です。また、計画策定にむけた基礎資料としてのアンケート調査が行われ、そのなかで特に、交通手段の充実を求める記述は158件でトップでした。
しかし、現状は運転免許証返納者に対するタクシー券やバス購入補助として、年間2000円。しかも2年間の限定です。この間、関係市民団体などは、従来おこなわれてきた交通費優待助成制度の復活・充実を求める陳情を提出するなど、移動手段の改善や財政的な補助を求めてきました。
高齢者保健福祉計画(素案)において、市としてこうした多くの市民の思い、さらには昨年9月議会の決算特別委員会での委員会の総意として示された意見をどう受けとめているのか、伺います。
具体的にはまず、現在の運転免許証返納者のみでなく、対象者を拡大し、あわせて補助額を増額するよう真剣な検討を求めるものです。責任ある答弁を求めます。
(8)保育園における保育士確保などについて
次に、子育て支援に関連して伺います。
予算案では放課後デイサービスなど障害のある子ども向けの障害福祉サービスの利用者負担を無償化し、また、高校生を対象とした就学援助金を1.5倍に増額する施策を評価するものであります。
保育園の改善についてですが、厚生労働省は新年度から国の保育士配置基準を76年ぶりに改定し、4・5歳児を現行の30人から25人に、3歳児を現行の20人から15人に一人の保育士配置に改善するとしています。一歩前進ですが、保育士が受け持つ子どもの数が依然として多いため、負担が大きく、保育士の確保などが大きな課題となっています。
鎌倉市では、1・2歳児の国基準が6人に保育士1人のところ、公立保育園で5人に1人の独自基準で保育を行っていますが、民間園には国基準の補助であり、不十分な状況です。
また、保育士の給与加算は12年で頭打ちであり、ベテラン保育士の多い保育園ほど運営が厳しくなっています。やはり子どもたちの安全と成長を保証するには、ベテランから若い保育士までともに学びあい、スキルを高めあうことが大切ではないでしょうか。
民間保育施設においても、運営費をやりくりするなどして改善に努められていますが、保育士の給与水準は低く、大変厳しい現状であることは周知の事実であります。
そこで、横浜市では保育士の処遇改善のため保育士1人4万円の補助をだしていますが、国に更なる保育士配置の基準改善や補助基準の改善を求めるとともに、鎌倉市においても独自の処遇改善補助を充実するよう求めますが,見解を伺います。
さらに、障害のあるお子さんの成長と安心の保育のため、市独自の障害児保育士加算補助が行われていますが、1日2時間程度の保育士加算のため、実際は運営費をやりくりして保育士を配置しています。県に補助の再開を求めるとともに、実態に見合った独自補助の改善を求めますが、見解を伺います。
(9)「スクールコラボファンド」の条例化と予算との関係について
次に、条例提案されている「スクールコラボファンド」についてです。ガバメントクラウドファンディングの一種として理解しています。学校における様々な学びについて、「魅力的な人材・組織とのコラボレーションを通じて実現することで、子どもたちや教師が新しい時代の到来にドキドキし、自分が将来できそうな事にワクワクする教育を創り上げていくための資金」ということですが、そもそも公教育として基金まで設置して取り組む意味と必然性はどこにあるのでしょうか。
公教育に必要な事業はきちんと予算化して対応するのが基本ではないのですか。そのうえで、補助的な取り組みに必要な寄付を受けることを否定するものではありませんが、なぜ条例化までして恒久的な位置づけをするのか、疑問です。「スクールコラボファンド」を基金化しなければならない理由について明確な答弁を求めます。
(10)学校給食の無償化にむけて
次に、ますます重要性が高まる食育の視点や義務教育として学校給食を保障するため、いま給食の無償化が求められています。
この点で学校給食法第11条は、給食費の一部を補助することを禁止する意図はなく、地方自治体の判断で全額補助することも否定するものではなく、「義務教育はこれを無償」と定めた憲法第26条の全面実施という点からも、学校給食費の無償化を国による財政措置で実施することを党国会議員団は求めています。
文科省による令和3年度の調査によると、月額平均は公立小学校で4,477円、公立中学校で5,121円となっています。
この間、小・中学校の給食を実施する全国約1600市区町村の約3割で給食費を無償化したとのことです。また、無償化していない自治体でも、半額補助や第2・3子以降の補助、中学校だけを無償化するなど、様々な軽減を行っている自治体が増えています。
文科省の前回調査は、制度として無償化した自治体が対象でしたが、今回の調査は、新型コロナ感染症への対応に必要な地方創生臨時交付金を使って、期間限定で実施する自治体も含まれています。
小中学校ともに給食費を今年度無償、あるいは今年度実施予定の自治体は491にのぼり、小学校のみは14、中学校のみは17で、無償化に踏み出す自治体が全国的に増えていることが分かります。
新年度からは、東京都23区すべてにおいて実施され、都として最大半額の補助を行う方針を決めたとのことであります。
さて、鎌倉市では、食材費が高騰するなかで、学校給食費増加分の補助を行っていますが、予算案において主要な取り組みの一番に「鎌倉のまちが子どもたちの笑顔であふれてほしいという願い」を表明されている市政において、まさか他の自治体に遅れを取ることなく、真剣な検討を始めなければおかしいのではありませんか。
具体的には、いつまでも「研究」するのではなく、段階的な無償化について、前向きな検討を開始するよう強く求めるものですが、市長と教育長の見解を伺います。
(11)包括的性教育の普及について
次に、包括的性教育の普及について伺います。DVや性暴力、望まぬ妊娠、性犯罪、性感染症など、もっぱらマイナスの側面の多い報道を見聞きするにつけ、日本の性教育と人権教育の遅れを感じざるを得ません。
子どもへの性犯罪や性暴力に対し、2021年4月、文部科学省は、幼稚園から大学までの教材「生命(いのち)の安全教育」を初めて作成し全国の公立学校に配布しています。
しかし、生命の安全教育の趣旨・目標は、「性犯罪・性暴力対策の強化」とし、性を肯定的にとらえる内容はなく、お互いの性を尊重する人権の観点が不十分です。さらに事例は異性間に偏っており「多様性」にも乏しいものです。
ユネスコが各国の研究成果を踏まえ、2018 年に発行された改訂版「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」は、国連合同エイズ計画、国連人口基金、ユニセフ、国連女性機関、世界保健機関が協同して作成したものです。2020年に、日本でも改訂版が出版されています。
ガイダンスには、このように書かれています。「質の高い包括的なセクシュアリティ教育を提唱し、 健康と福祉を促進し、人権とジェンダー平等を尊重し、子どもや若者が健康で安全で生産的な生活を送ることができるようにすることを目的としています。人権を基盤に、性についてのポジティブなイメージを育てて欲しい、というのがこのガイダンスの考え方です」と記載されています。
包括的性教育とは、誰もが安全安心に生きる権利であり人権とジェンダーに主軸を置いた教育、自分はかけがえのない存在であること、自分を大切にする方法をディスカッションや調べ学習など繰り返し学ぶ教育ということで、私自身は最近、知りました。
2022年3月の神奈川県議会において、性と生殖に関する健康と権利を尊重する「包括的性教育」の研究会を立ち上げて性教育を見直すよう求め、その後、県教育委員会は、「性教育指導の手引き」について、人権尊重の視点を持った改訂版を作成しました。
「手引き」の普及について、県教委は、「手引きを活用した授業の実践を働きかける」と答えています。自分自身のからだや心の快や不快を理解し、自身の良さを知り、そこからお互いを尊重する豊かな関係性を築けるようにするために、人権を大切にする包括的性教育の推進が求められています。
鎌倉市においては、「手引き」の普及について、教育現場の実情を踏まえ、どのようにお考えか伺います。
(12)多世代の居場所づくりについて
次に、子どもなど多世代の居場所づくりについては、教育福祉常任委員会で検討されていると承知しています。身近な場所に居場所があることは、やはり大切です。改めて。町内会館等を利用した居場所の充実や拡大について、市の取り組みを伺います。
また、子育てグループや高齢者活動グループが、ご自宅や学習センター等を利用しての居場所について、サロン助成や支援員の派遣等の検討を求めますが、見解を伺います。
これに関連して、公共施設再編計画では、青少年会館を廃止するとしていますが、玉縄青少年会館は存続し、鎌倉青少年会館は中高生のための居場所づくりとして施設の改修予算が計上されています。
今後、公共施設再編計画の見直しにより、廃止から継続・充実へと方針が修正されることになるのか。きちんとした整合性が図られなければなりません。責任ある答弁を求めます。
(13)水道料金引き上げに対する対応について
次に、水道料金について、神奈川県では今年10月から値上げ予定となっています。県は、神奈川県営水道事業審議会の中に非公開の水道料金部会をつくり、水道料金の検討を進めていました。昨年4月14日の第6回の審議会に部会報告がされ、その内容は、ほとんどの家庭の値上げにつながる口径別に加え、基本料金の値上げ、多くの水を使っているところは安くなるような逓増(ていぞう)制の見直しを行うというものでした。
県が試算したシミュレーションでは、単身世帯の水量の少ない世帯で25.3%の値上げ、同じ単身世帯でも標準的な水量の世帯で36.6%もの値上げということです。コロナ禍で収入が減ったご家庭や、生活保護を含めた低所得世帯など、物価高騰が追い打ちをかけている時に、ライフラインである水道料金が値上げされるのです。
県では、生活保護世帯を対象にした水道料金の免除制度はすでに廃止しています。生活保護費が2013年度から削減され続けている中で、3年前には市が管轄する下水道料金も免除が廃止されました。そして、昨年度は下水道料金が値上げになっています。
生きていくために必要なライフラインである上下水道の値上げは、住民の福祉の増進を図るという行政の原点からいっても、相当慎重でなければいけないのではないでしょうか。
賃金や年金が増えないなか、医療費の値上げなど全体として生活状況が苦しくなっていることに行政として十分な配慮が必要です。下水道事業については、住民税非課税世帯に対する減免措置が必要と考えますが、見解を伺います。
(14)住宅問題について
次に、高齢者や生活困窮者の住宅問題について伺います。
いまも述べましたように、物価上昇などの影響で、生活の維持が大変になっている方が増えています。そうした中、特に住居の困難に対する対策は、自治体として改めて考えるべき課題の一つです。
令和5年度の市営住宅の応募状況をみると、高齢者単身世帯では68世帯の応募がありながら募集戸数は僅か2戸で34倍でした。単身高齢者世帯の収入に見合った住まいが不足しており、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅、セーフティネット住宅を増やすことも重要です。特に、借り上げ住宅を含め、市営住宅を可能な限り増設して公共住宅の確保を求めますが、見解を伺います。
また、ひとり親家庭の家賃補助制度に加え、低所得者の方や高齢者の方への家賃補助制度などを新たに検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
3.改めて防災と安全安心なまちづくりの抜本的強化を
(1)本格的な職員地域担当制をめざした見直しを
次に、今回の能登半島大震災の教訓もいかした防災と災害時の取り組みは誰もが思われていることだと認識しています。まず、災害時における地域担当制について伺います。令和2年6月に「暫定版」として、台風等の際に情報連絡の連携手段として始まりましたが、きちんと機能しているのでしょうか。今のやり方を改善し、各支所の地域連携もいかした実効性ある形で、日頃から地域との連携が可能となる防災の取り組み体制を求めるものです。
現在の取り組み状況とあわせて、担当制の改善について伺います。
(2)避難所運営の改善について
次に、今回の能登半島大震災でも避難所の環境や運営が大きな問題になっています。避難所環境の改善という点では従来、一時避難先としている学校体育館への空調設備設置についてです。
学校体育館の整備については、「鎌倉市学校整備計画(素案)」の中で、「学校施設の建替えや長寿命化改修等の際に整備を検討するものとしますが、災害時の避難所となっている点や社会状況の変化等を考慮し必要に応じて別途整備の可能性を検討する…」と記載されています。
この考え方自体は尊重するものですが、現実的には学校の改修等の時期にあわせるだけでなく、命や安全に関わる問題として別途、空調設備計画をたて「緊急防災・減災事業債」等の活用も含め、検討すべきと考えます。そのことは今回の大震災の状況からも明らかでありますが、前向きな答弁を求めます。
大地震に備えるとともに、頻度という点では毎年の台風等の水害時に避難した場合に「共生社会」の精神を踏まえた対応が本当に行われているのか。たった数人の場合であっても、備蓄している必要な資材が活用されているのかなど、避難所開設時における高齢者の方などへの課題が伝わってきています。たとえ一泊であっても、床から高さのあるベッドは必要不可欠ですが、避難所における当日の運営における改善点について、答弁を求めます。
また、地域防災計画資料編をみると、避難所であるミニ防災拠点の他、消防出張所や行政センターなどの倉庫に、段ボールベッドや各種トイレなどが一定数備蓄されていることは分かりますが、結構バラつきがあり、本当に大規模災害時に対応できるのか、よく分かりません。湿気に強いエアーマットレスの備蓄はされていないようですが、今回の大震災も踏まえ、さらなる改善が必要であります。各避難所に対応したベッドや間仕切り、トイレなどの備蓄状況、また保管場所と避難所との連携など改善点について、伺います。
(3)福祉避難所等の増設と実際の運営について(法改正をふまえ)
令和3年5月から災害対策基本法の改正法が施行され、「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」も改定されました。その趣旨として、福祉避難所の指定を促進するとともに、事前に受入対象者を調整し、人的物的体制の調整を図ることで、災害時の直接の避難等を促進し、要配慮者の支援を強化するとしています。
現在、市内の福祉避難所は老人福祉センターと県立鎌倉養護学校の6カ所ですが、実際のところ、要配慮者の直接避難といっても、本当に必要な福祉的ケアが受けられる体制になっているのでしょうか、疑問です。法改正も踏まえ、運営改善にむけた現状の取り組みについて、伺います。
そのうえで現実的には、福祉避難所といっても、名越やすらぎセンターや今泉さわやかセンターなど立地場所との関係で、なかなか避難が困難といった事情も考えられます。
そうなると、いま市内で11法人・18施設と市が協定を結んでいる「災害時要配慮者支援関係」施設への避難ができるだけ可能になるよう市としての支援や連携強化が求められると思います。
緊急受け入れに関する協定の第4条は、市からの「要請を受けたときは、可能な範囲で受諾するもの…」とされています。あくまで施設の実情や職員体制等に応じた任意の協力ということになります。
そのうえで、可能な限り部屋の確保や、それも困難な場合には、可能な範囲で通路部分にベッドを配置できるようにするなど、市との連携強化や備蓄倉庫の設置支援等を含めた具体的な支援が大切と考えます。そうでないと、実際にはなかなか難しいでしょう。
そうした取り組みの必要性と現状について、答弁を求めます。
(4)ペット同行避難の具体的な受け入れ体制と対応について
次に、避難の際、現実的に大きな課題となっているのが、家族としてのペットをどうするかです。同行避難ができなければ、結果的に車中泊等をせざるを得ません。今回の能登半島大地震においても、1ヶ月以上車中泊をしている方がおられます。犬が大きくて避難所に入れない、との理由だそうです。
私が令和元年11月に提出した文書質問に、市は当時、犬の登録数は約1万3百頭、猫は推計で約1万1千頭と回答されています。このことから、相当数の世帯にとってペットと避難の問題は切実な課題であると思います。実は私自身もそうです。
市長は同僚議員の質問に対し、災害時に避難すべき状況にもかかわらず、ペットがいることで避難ができない、こういうことは絶対にあってはならない旨、答弁されています。その反映として、予算案には「ペット同行避難ガイドラインに基づくチラシ作成」が計上されています。
そこで伺いますが、地震や水害時に指定の避難場所へ行こうとした場合、本当にペットとの同行避難が可能なのか、どのような場所にペットが行くことになるのかなど、避難所における具体的な環境整備と想定が必要ではないでしょうか。周知啓発は、そうした取り組みがあってこそ活きたものになると考えます。具体的な取り組みについて伺います。
(5)津波等避難路の整備促進
次に、地震津波等に備えた避難路の整備促進について伺います。この課題は特に、沿岸地域にとって切実ですが、材木座から腰越まで、地域や行政が主体となり実際に整備されている避難路は、どの地域に、どの程度あるのでしょうか。伺います。
私が住む材木座では、東日本大震災後の比較的早い時期に「防災会議」を設置し、会合は86回に至っています。そこでは地域の関係者と話し合いながら、備蓄倉庫の増設や沿岸部一斉津波避難訓練、地域が主体となった避難路整備等に取り組んでいます。避難路は私の自宅の裏山もその一つですが、地域の皆さんが主体になって四カ所整備し、手すりは市に設置工事をしてもらいました。清掃作業もしています。
そこで新年度に予算計上されている津波避難路の整備は、どのような内容なのか、整備時期を含めて伺います。
避難路整備は、沿岸地域の中でバラつきがあるのでは、と思います。これは職員地域担当制の改善にもつながりますが、「共助」頼みにせず、材木座での整備内容をモデルにして、それぞれ地域の事情に即して、沿岸各地域における具体的な避難路整備が進むよう市としての具体的な取り組みを求めるものです。見解を伺います。
(6)浸水対策の見直しについて
次に、浸水対策計画の見直しについてです。
平成20年に策定された鎌倉市下水道総合浸水対策計画に基づき実施している大塚川から新川への分水事業の進捗状況について、まず伺います。
鎌倉市下水道総合浸水対策計画については、令和3年の流域治水関連法の改正を受け、令和4年度に内水浸水シミュレーションを実施しました。この結果を基に、令和5年度から2年間で鎌倉市下水道総合浸水対策計画に代わる雨水管理総合計画の策定を行う予定であると認識しています。
現在、大塚川と新川の分水計画が行われていますが、下水道総合浸水対策計画に位置づけられている大規模な浸水被害の発生が想定される重点対策地区の大塚川・新川以外の3地区について、同総合計画に位置づけて進めていくのか、伺います。
(7)道路や歩道の修繕や整備促進と作業センターの体制強化
次に、社会基盤施設マネジメント計画に基づく取り組みのなかで、道路舗装修繕計画が策定され、幹線道路や緊急輸送道路など道路の優先度などが見直されて実施していると認識しています。現在の計画は、2023年度までの年次計画となっていますが、これまでの取り組みと新年度以降の取り組みについて伺います。
同時に、この計画では地域の生活道路が十分にカバーされているとはいえません。例えば、私が住む材木座地域には計画対象道路が入っていません。しかし、実態として、地域の身近な生活道路において、舗装を要する箇所が多くあるのではないでしょうか。
地域の生活道路における舗装状況をどのように認識され、いまどのように舗装や修繕に取り組んでいるのか、伺います。
新年度以降の取り組み姿勢として、地域の生活道路についても、やはり計画的な位置づけによる対応と、それに必要な予算の拡充が必要ではないでしょうか。多くの市民が感じている生活道路の舗装について、取り組みを抜本的に強化することは安全安心なまちづくりにとって必要不可欠と考えますが、見解を伺います。
また、歩道について、根上がり対策が必要な箇所のご相談が私の所にも寄せられています。路面を剥がして掘り、可能な範囲で根を切って路面を貼り直すといった作業がされていますが、歩道についても計画的な取り組みが必要ではないでしょうか。現在の取り組み状況を含めて伺います。
道路の安全を考える際、これも社会基盤施設マネジメント計画に基づく取り組みとして、路面下空洞調査が実施されています。空洞化が懸念される箇所を心配する市民の方からの声も伺っていますが、この間の調査を踏まえた実態として、どのような状況であると認識しているのでしょうか。
令和6年度にかけて追跡調査35カ所を実施するとのことですが、特徴として、どのような地域のどういう箇所で調査が実施されるのでしょうか。取り組みの状況について、明らかにしていただきたいと思いますが、答弁願います。
道路や歩道、河川、緑地などの補修を行っている作業センターは、安全な市民生活にとって重要であるにも関わらず、退職者不補充により体制が縮小の一途をたどっています。私は、2022年9月議会の決算特別委員会において、在職20年以下のセンター職員が一人もいないことを明らかにしましたが、このままでは直営がなくなってしまいます。
ですから、複数の会派から市の対応を求める声があがっていると認識しています。雇用をコストとして捉えるのではなく、市民の安全が何よりも重要です。いい加減、従来の方針を見直し、より若く市民のために頑張れる新規職員の雇用をおこなう時にきています。責任ある答弁を求めます。
(8)公衆トイレの整備促進等について
次に、公衆トイレの整備促進について伺います。鎌倉においても観光客の賑わいは「コロナ禍」以前に戻っていますが、それに伴う課題も改めて顕在化しています。その一つが公衆トイレの問題です。同僚議員も質問していますが、特に鎌倉駅西口側の用地確保について、広場を含め正面から取り組むよう改めて求めるものですが、見解を伺います。
同時に、鎌倉駅西口側の周辺には市役所をはじめ、利用可能な公衆トイレが点在しています。「ぶらり鎌倉マップ」などをみると公衆トイレが表示されていますが、細かくて分かりづらいという面もあるのではないかと思います。
最近になって寄せられている声では、外国人の方が鎌倉に来られるのは有り難いことである一方、御成地域の方から聞いている声として個人宅の敷地に入ってきて庭先でトイレをしてしまう方も実際におられるとのことです。
やはり、大きくて目に入る多言語による案内看板について、広場内ではなく、来られた方が見やすい駅前に設置するなど、具体的な取り組みが必要と考えますが、あわせて伺います。
(9)ごみ問題について
最後に、ごみ問題について伺います。
何よりも「ゼロウェイスト」の理念を堅持したうえで、現実的により良い形で、かつ安定的な処理体制の構築が求められていると考えます。この点で、鎌倉市は2024年度末で、唯一の焼却施設である名越クリーンセンターの焼却を停止し、燃やすごみを逗子市で処理するために必要な中継施設建設を同クリーンセンターの跡地において行うことになります。
先般、地元地域からの了承を受け、予算案には設計費や債務負担行為として土壌汚染状況調査業務委託費が計上されています。私は当該地域に住み活動している立場として、思うところはありますが、あえて反対はせず、十分な情報提供や丁寧な説明を行い理解を得る取り組みについて、環境部に求めてきました。
今後、建設にむけた課題解決を図るとともに、当然ではありますが、必要な地域還元策や振興策を積極的におこなうよう強く求めるものであります。答弁願います。
名越クリーンセンターの焼却停止により、鎌倉市内の焼却施設はなくなりますが、全量ではなく、逗子市での受け入れ量は年間1万トンであります。鎌倉市における燃やすごみは、2022年度末の数字で、2万2659トンであります。
したがって、逗子市にお願いしてもなお、約1万2千トンを処理しなければなりませんが、その見通しはどうなっているのでしょうか。具体的には、今泉クリーンセンター敷地において、燃やすごみの約4割を処理する生ごみ資源化施設を建設したいとしていますが、同地における建設は現実的に困難であることは明らかです。
それにも関わらず、なぜ今泉での生ごみ資源化施設建設に未だにこだわっているのでしょうか。同地における最優先課題は、名越の中継施設完成までの間における暫定的な中継施設の整備ではありませんか。そのための地域合意形成にこそ全力をあげるべきです。
そのためにも、同地における生ごみ資源化施設建設を正式に断念し、状況をきちんと整理すべきです。違いますか。そして、同地に必ず暫定中継施設を整備するよう取り組むべきと考えますが、名越との関係からも責任ある答弁を求めます。
そのうえで、逗子市での焼却は、あくまで10年間の時限的な約束であるため、なおのこと約1万2千トンの処理方式をどうするかは極めて重要な問題となります。ですから尚更のこと、できもしないことにいつまでも固執すべきではありませんが、ではどうするのか。
ここにきて急に、戸別収集の実施が浮上してきました。安定的なごみ処理の見通しが厳しいなかで、「集積場所となるご家庭の負担が大きく、戸別収集により管理の負担を減らす」とか、「集積場所まで運ぶのが難しい高齢者や、朝のごみ出しが難しい子育て世帯や共働き世帯のサポートなど、ライフスタイルの変化にも対応」するなどとして、戸別収集を早ければ来年度から段階的に進めていきたいとしています。
ステーションでのトラブルの解決という点で、戸別収集の対象は「燃やすごみ」だけですので現状、条例提案されている「持ち込みごみ」を含め、ステーション収集は継続するわけです。トラブルの防止や解決には、地域のつながりはもちろん、複合的な改善が必要であり、戸別収集の実施で単純に解決するわけではありません。
戸別収集については、実施の是非を含め、スケジュールありきではなく、改めて十分な地域からの丁寧な意見聴取と合意形成を図るべきです。今後の取り組み姿勢とともに、明確な根拠を示せる減量効果について、伺います。
また、必ずしも「戸別収集ありき」ではなく、介護の必要な高齢者や障害者の方などを対象とした「声かけふれあい収集」はとても重要な事業であり、福祉の視点からも、この事業の拡大・充実こそが求められると考えますが、今後の実施見通しとあわせて伺います。
さらに、戸別収集について、収集費用の「実質負担増」は7千万で済むとしていますが、本当でしょうか。実際に収集を始めれば、収集作業に従事される方の負担は相当大変で、それに伴い、人件費等も想定以上にかかることが考えられます。また、燃やすごみの処理費用減の1億1千万円はあくまで期待推計値にすぎないのではありませんか。 そして、家庭系有料袋の歳入1億9千万円は、そもそもが市民負担であって、これを収集経費の「減額要因」に加えること自体、全く適切でないと考えます。違いますか。
前回、導入見送りの最大の要因となったコスト面については経費削減ありきの「見せ方」ではなく、きちんと実態に基づいた数字を誠実に市民や議会に示すべきです。先ほど指摘した合意形成の進め方にも関わりますが、責任ある答弁を求めます。
今後の安定した処理体制を考えた場合、一つは先ほども指摘したように、家庭系生ごみの資源化候補用地を新たに検討することです。そのうえで、どうしても困難な場合は、費用がかかりますが、民間委託による処理も視野に入れることを検討せざるを得ないのではないでしょうか。
そして、事業系生ごみについては現在、埼玉県寄居町の民間施設に運搬して処理していますが、見通しを明確にすべきです。
現状では、逗子市にお願いする1万トン以外の約1万2千トンの処理方式が明確にならない以上、複数の民間焼却施設にお願いせざるを得ないことになります。それで一定期間しのげるとしても、不安定な処理が長期かつ固定的になることは、やはり望ましくないことから伺うものです。責任ある答弁を求めます。
最後に、紙おむつの資源化については現在、実証実験が行われていますが、どのような到達と見通しでしょうか。
今後の事業見通しと仮に事業を実施した場合、燃やすごみの減量効果をどのように推計しているのか、あわせて伺います。
以上で、登壇しての質問を終わります。