3月3日、鎌倉市議会で「子宮頸がんワクチンの定期接種を中止して、先進国で最も低いと言われている子宮頸がん検診受診率を引き上げることを国に対して強く求める意見書」が提出され、13対12で意見書は採択されました。この意見書について共産党市議団は下記の様な理由で反対しました。
要望内容の子宮頸がん検診率を引き上げることは大賛成です。予防接種等で1人であっても被害者を出してはならないと思います。
しかし、ワクチン接種の定期接種中止を今、求めることは賛成できないことから中止を外していただけないかと申し上げましたが、できないとのことでしたので、このままでは賛成できませんでした。
日本では毎年約1万人が子宮頸がんに罹患し、約3,000人が死亡し、子宮頸がん予防が重要課題となっています。最近特に20〜30歳代に増加しており、若い女性や子育て世代の女性が子宮頸がんに罹患し、妊娠能力や命を失うことは、深刻な問題として捉えられています。子宮頸がんの予防対策として細胞診による検診が行われてきましたが、日本の検診受診率が30〜40%台(2013年は全国平均32.7%)であり、欧米先進国の70〜80%台と比較して低いことから、検診のみでこれ以上子宮頸がんの死亡数を減少させることは難しい状況です。
主ながんの中で子宮頸がんのみ死亡率の増加が加速しています。厚生労働省の副反応検討部会のデータでは、HPVワクチンの国内販売開始以降、接種により回避することができた子宮頸がん患者数は13,000人〜20,000人、死者数は3,600〜5,600人と推計され、今後これを接種しないことによる不利益に関しても科学的根拠に基づいて考慮することが必要だと産科学会等専門家は指摘しています。また、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種勧奨の早期再開を求める声明を平成29年1月13日に日本産科婦人科学会が発表しました。
世界の趨勢(すうせい)を見ますと、世界保健機構(WHO)および国際産科婦人科連合(FIGO)は最新の世界中のデータ解析結果に基づいてHPVワクチンの安全性と有効性を繰り返し確認し、HPVに起因するすべてのがん予防のために、国家プログラムによるHPVワクチン接種を強く推奨しています。また実際に英国・米国(べいこく)・豪州(ごうしゅう)では、ワクチン接種プログラム世代のHPV感染率の低下および子宮頸部のがん病変の有意な減少が次々と報告されています。
この間、公費接種の対象となったワクチンについては、慢性疼痛等の様々な副作用の頻度が高く、重い症例もあることが問題となり、平成25年6月に厚生労働省からHPVワクチンの接種勧奨の一時中止勧告がなされてから、3年8か月たちます。
接種勧奨は再開せず、疫学(えきがく)調査もふくめた副反応被害の徹底した検証を1日も早くすすめるべきです。
本ワクチン接種後に起こったケイレン、全身の痛み、失神など被害にあわれた、ご本人並びにご家族の皆さんには1日も早く回復されますことを祈念すると共に、国が責任を持って救済するよう求めてまいります。