〒248-8686神奈川県鎌倉市御成町18-10(鎌倉市役所内2階)
TEL:0467-23-3000
皆さんが安心して暮らせる住みよい鎌倉市、環境・平和・福祉の鎌倉市を目指して
議会での質問等

2016年7月11日

北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値の検証  鎌倉市議会が決議と文化庁への意見書可決

北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値の検証にあたり、

鎌倉市議会が決議と文化庁への意見書を可決したことについて

日本共産党鎌倉市議会議員団

赤松 正博

<はじめに>

市議会6月定例会最終日の6月30日(木)市議会は、文化庁の指導により市が実施することになった北鎌倉隧道が所在する尾根の文化財的価値の検証にあたり、「公正な学術調査に徹することを求める決議」と、文化庁に対して引き続き市への適切な指導・援助を求める意見書を可決しました。

文化庁への意見書は全会一致で可決しましたが、決議は共産党・ネット・保守系会派などの18人が賛成し可決されましたが、公明党が反対、みんなの鎌倉は退席しました。

決議は「尾根の文化財的価値はない」とする市に対し文化庁が、文化財的価値がありさらなる検証の必要性を指導したことから、「(市の説明に基づき開削工事予算を議決した)昨年9月議会とは異なる展開があった」として、議会が市に対し公正な検証を求めたもので、とても大きな意味を持つものです。

党市議団は、はたの君枝衆議院議員とともに、文化庁に対しこれまで3回にわり隧道を含む尾根の保全を要請してきました。その結果、本工事着手寸前の5月24日、ついに文化庁の指導が入りました。これは市民とともにたたかってきた成果であり、今後の取り組みにも勇気と確信を持つことができました。

一、 松尾市政の歴史的・文化的景観の破壊に立ちはだかって

文化庁の見解は、「トンネルが所在する尾根は、重要文化財に指定されている円覚寺境内絵図に、円覚寺の境界として描かれていることから重要であり、文化財的価値がある。当該文化財的価値について、文化財専門委員以外の専門家による検討が必要である」というものでした。

この文化庁の指摘と見解は、1年半前にこの分野で最も権威のある日本考古学協会より、市長宛に寄せられた要望書の中で示されていました。その後、今年4月にも再要望書が出されていました。さらに、全国の名だたる中世史を専門とする大勢の学者、研究者からも保全と活用についての要望が寄せられましたが、市と市教育委員会はこれを一切無視し続けてきました。

私は、これら専門家の見解を紹介しながら、「いま一度立ち止まり再検討すべきではないか。世界遺産登録に再挑戦する鎌倉の市長として、当然のことではないのか」と厳しく追及しましたが、聞く耳を持たない松尾市長は計画を強行しようとしています。

市は、文化庁の指導に対し「開削工事に必要な樹木の伐採や測量をすすめながら調査する」とし、価値ある文化財を守ろうとするものではありませんでした。

このような姿勢で本当に公正で科学的な文化財へ調査ができるのかという懸念が、決議や意見書の提出につながったのです。

二、今小路西遺跡(御成小学校校地に眠る史跡)と

学校建設の両立をはかった経験と教訓を生かして

私はこの北鎌倉洞門問題に直面して以来、今から24年前の平成4年9月定例会で、御成小学校改築工事の議案がとり下げとなった時のことを思い出しました。それは、建設予定地から、中世と古代の遺跡が重なりあって発見され、しかも鎌倉の歴史を塗り替える郡衙の遺構がそっくり出土し、武家屋敷跡や道を挟んで住み分けの跡などの第1級の史跡が発見されたにもかかわらず、市は建設を強行しようとしたため、文化財専門委員が抗議し総辞職したのです。その中で市民や父母からは「子どもの学び舎を木のぬくもりで」と木造校舎を推す声も広がっていました。しかし議会からは「木造校舎で、火災にあったら子どもの命はどうなるのか」「文化財と学校のどっちが大事か」という意見が出されていました。

市が計画する鉄筋校舎は、100本もの杭を地中に打ち込み遺構を壊すものでした。共産党は木造校舎にすることで、学校建設をすすめながら遺構も残すことができると提案し、文化庁とも事態打開の協議を続けた結果、鉄筋3階校舎建設の議案が取り下げとなったのです。まさに北鎌倉トンネルの開削問題は、24年前の御成小改築問題と同じ過ちを犯しているのです。

三、“歴史的遺産と共生するまちづくり”とは何か!

御成小改築の教訓に学び、二者択一でなく、

今こそみんなで知恵を出すときです。

国指定史跡と一体をなす円覚寺境内は、社寺景観に存在する尾根は国の重要文化財「円覚寺境内絵図」に描かれている地形がそのまま残っているめったにない歴史資産です。市は「鉄道開設時に切りとられて文化財的価値はない」との判断ですが、仮に一部削られていたとしても、あれだけ立派に堂々と存在している尾根を大事にしない文化財行政はあまりにもお粗末すぎます。

しかも、最近の調査で「尾根は削られていない」という見解も出ています。行政計画を推進するには、関連するすべての部署が対等の立場で問題を出し合い、諸課題をまな板にのせ、総合的に検討しあうことが欠かせません。

「道路整備部局がすでに開削工法を決めているから」と歩調を合わせざるを得ない状況が作られていたとしたら、教育委員会という独立した行政機関の存在意義が問われます。

また、“歴史的遺産と共生するまちづくり”は行政だけですすめることはできません。市民と行政が共同して知恵も力も出し合うことが大切です。市は、専門家や市民などの意見に耳を傾けることが今一番求められています。

終わりに

隧道が所在する尾根の文化財的価値を検討する鎌倉市文化財専門委員会の初会合が7月8日(金)に予定され、ここには、専門委員会委員以外の専門の先生が加わる予定になっています。ここではどんな方法で検証を行うのかなどの議されるものと思います。

私は議会決議の通り開削工事につながる樹木の伐採や測量などはせず、現状を破壊することなく検証を行ってほしいと思っています。この重要な局面をみんなで注視していきましょう。

<追記>

7月5日(水)住民代表の方々ともに、はたの君枝衆議院議員立会いのもと、文化庁に4度目の要請を行いました。円覚寺尾根の現地視察を行った主任調査官は、これまでの市の対応を大変心配されていて、「きちんと調査をして下さいと強く申し上げた」と話され、市議会が決議と意見書を上げことについても、大変前向きに受け止めていただきました。引き続きの国の支援・助言をお願いしてきました。

新着情報

過去記事一覧

  • 赤旗新聞
  • JCPWEB
PAGE TOP