6月議会が本日おわりました。
子宮頸がんワクチンの接種をめぐって副反応が多く報告され、6月14日厚生労働省専門部会において「今後早急に調査すべきとされた副反応例について、可能な限り調査を実施する。速やかに専門家による評価を行う。その間、自治体による積極的勧奨はすべきでない」との見解を発表しました。
お子さんを持つ保護者からは不安の声が寄せられています。本ワクチン接種後に起こったケイレン、全身の痛み、失神など被害にあわれた、ご本人並びにご家族の皆さんには1日も早く回復されますことを祈念いたしております。
今回議員提案された「子宮頸がん予防ワクチン接種事業の検証と副反応被害者への救済を求める意見書について」私たちは表題通りの内容には賛成であり、積極的に推進する立場ですが、以下の理由から反対しました。議会では反対が多く意見書は採択されませんでした。
議会での討論を載せます。
6月20日 鎌倉議会での討論
子宮頸がん予防ワクチン接種事業の検証と副反応被害者への救済を求める意見書につきまして日本共産党鎌倉市議団を代表して反対の立場で討論いたします。
このたびの意見書を出す相談があった際、意見書の表題にあります点についは賛成ですとお答えしましたが、表題にはない要望項目の①にあります「接種の一時見合わせをすること」については意見があることからこの部分を除く「検証と救済」の一致点で意見書を提出するよう申し上げたところですが、受け入れられないまま意見書が提案されたものです。
以下理由を述べます。
子宮頸がんは20代~30代の女性に一番多いがんと言われています。子宮頸がんは世界的に予防できるがんという認識が定着しており、発症には発がん性の(ヒトパピローマウイルス)HPVの感染が大きくかかわっているということが判明したためです。このHPV感染はありふれたウイルスで性体験のある80%の女性が感染し、多くは自然消滅しています。
しかし、がんを引き起こすウイルスは18種類あるとされていますが、HPVの中でも16型、18型の2種類は、そのほかの発がん性HPVに比べると特に20代~30代の患者から高い頻度で見つかっています。適切な年齢で子宮頸がん予防ワクチンを接種し、定期的な健診で、このHPV16型、18型をほぼ100%防ぐことができると言われています。 子宮頸がんは日本では毎年、新たに8,000人から1万人が発症して、1日に約7人の女性が亡くなっているほどの患者数の多い病気であり、子宮頸がんは、日本では女性特有のがんの中では乳がんに次ぐ罹患率の高いものです。特に最近は妊娠、出産年代の20歳から30歳代の罹患率が増加傾向にあり、これは少子化問題から見ても社会的に重大であります。
子宮頸がん予防ワクチンの接種と子宮頸がん検診の併用により、子宮頸がんの予防対策、それを効果的に進めていくことが必要であると思います。
こうしたことから日本でも 4月から予防接種法による定期接種化され、環境が整備されたものの、全身の痛み、ケイレン、失神など副反応があったとの報告から市民に不安と戸惑いが広がっています。
今年4月9日に日本産婦人科医会は「複合性局所疼痛症候群(CRPS:complex regional pain syndrome) は、ワクチンの成分によっておこるものではなく、外傷、骨折、注射針等の刺激がきっかけになって発症すると考えられている」との見解を表明し、そして「母子の生命健康の保護の観点から検診とワクチンにより、このり患の予防に力を注いでまいります」としています。
しかし、このたび厚生労働省専門部会において「今後早急に調査すべきとされた副反応例について、可能な限り調査を実施する。速やかに専門家による評価を行う。その間、自治体による積極的勧奨はすべきでない」との見解を発表しました。
ワクチン接種の効果は子宮頸がんの原因であるHPVの持続感染を予防する効果やがんに移行する前段階の病変の発生予防効果が認められています。それは子宮頸がんの大部分を占める扁平上皮がんと呼ばれるがんについては、持続感染やがんに移行する前段階の病変を必ず経てがんになるものと考えられるため、持続感染やがんに移行する前段階の病変を予防できれば、がんも予防できると考えられているのです。そのことから世界保険機関(WHO)においてこのワクチンの接種を推奨しています。
海外では既に108国で接種されています。
以上のような理由から国におかれましては速やかに副反応への不安を払しょくし、安心して予防接種ができるよう、正確な情報と検証、副反応被害者への早期救済を行うこと。検診率が20%台とたいへん低い実態を踏まえ、子宮頸がん検診を受けやすくする体制の工夫と充実を求めるものです。
以上で討論を終わります。