9月27日、鎌倉市議会最終日、「神奈川臨調」(神奈川県緊急財政対策本部調査会、座長・増田寛也野村総合研究所顧問)意見書について、議会は全会一致で意見書を採択しました。
内容は次の通りです。
神奈川県「臨調」意見に対する意見書
「神奈川臨調」(神奈川県緊急財政対策本部調査会、座長・増田寛也野村総合研究所顧問)は9月21日に意見をまとめ、黒岩祐治県知事に提言した。
提言された意見では
(1)県有施設のうち、県民利用施設では、県立図書館、大船フラワーセンター、音楽堂、近代美術館、体育センター、県立公園など県民の文化、社会活動に欠かせない107施設全ての廃止・移譲または「独立採算」「受益者負担」による財政負担軽減をする。
また、出先機関では、放射能測定や地震研究など安全に関する施設や、保健福祉事務所、児童相談所など132全ての出先機関が廃止・統合などの対象とする。
障害者施設を中心とした社会福祉15施設も民間活力の導入をうたい、さらに入居者94,000人を超える県営住宅について直営をやめ、民間賃貸住宅の借り上げ方式などへ転換する。また、これら県有施設は3年で原則全廃するとし、施設・用地は積極的に売却すべきとしている。
(2)団体や市町村補助金について、県独自の補助金452事業、1,121億円のうち、昭和63年度以前に創設された159事業、586億円分は原則廃止。100万円以下、1,000万円以下など少額補助金も根拠もなく効果が期待できないなどと原則廃止。団体補助金760億円のうち、私学助成445億円は別途「教育臨調」で議論されているが、そのほとんどは原則廃止とされた昭和63年度以前に創設されたものである。特別養護老人ホームや休日診療所、障害者支援の補助などの団体補助金も原則廃止や凍結の対象とされている。
市町村補助金385億円についても、71%が福祉関連の補助金であり、県民の長年にわたる取組で実施された重度障害者や子供、ひとり親家庭の医療費助成や民間保育所運営費などを廃止・凍結しようとしており、県は既に始まっている来年度予算の編成作業を通じて具体化していくとしている。
補助金が廃止・凍結された場合、鎌倉市においてわかっただけでも在宅障害者への支援、家庭的保育の推進など2億5,218万円の影響がある。
また、既に補助金削減や制度改正により財源が保障されない事業もあり、来年度一律に補助金カットが実施されれば、住民生活に大きな影響を及ぼすことは明白である。
よって、以下のことを神奈川県に対して求めるものである。
記
1 県有施設の見直しにあってはそれぞれの施設の価値を十分検討すること。
2 補助金・負担金についても全てを一律に見直すのでなく、内容を十分精査すること。
3 ゼロベースからの見直しが提言されているが、補助金の見直しに当たっては真に必要なものは継続するようにすること。
4 見直しに当たっては事前に市町村と十分な協議調整を図り、市民や関係団体等に対し、県が十分な説明をし、理解を得ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年9月27日 鎌 倉 市 議 会
県臨調との関係では
◎補助金カットされた場合の影響
大きいのは
重度障害者医療給付金 1億1505万5千円
民間保育所運営費補助金 8449万6千円 など市民の福祉関連が圧倒的です。
鎌倉市の25年度予算要求の財政課査定編成方針では
*国県支出金による財政措置の廃止、縮減分を市費で肩代わりすることは、原則行わないとしており、もし、県補助金がカットされたとき、鎌倉市でも県に要請した内容と同じように、下記の点での深い論議が必要だと思います。
◎憲法、地方自治体のあり方が問われている
憲法が規定する広義の生存権(社会福祉、社会保障、公衆衛生、教育を受ける権利、勤労権など)
地方自治法「住民の福祉増進」に沿って行うことが自治体の責務である
この点での論議が大切ではないでしょうか。
◎本当に財政が厳しいのか
優先順位などきちんと明確にすること
鎌倉市は不交付団体であり、全体として市税収入は少なくなってきていますが、財政のあり方が問われているのではないでしょうか。
市民生活を守り、暮らしやすい鎌倉のまちづくりを目指していきます。